WALK あばうと 日本4,000山

「新日本山岳誌」掲載の約4000山が修行の地。 めざせ山仙人!
白山まで続く道―三方岩岳・野谷荘司山・妙法山

地元岐阜県の日本300名山三方岩岳(1,736m)。
世界遺産白川郷に向かい合う位置にそびえ、山頂直下に「飛騨岩」「越中岩」「加賀岩」と三方に巨岩をそびえさせているのがその名の由来。
かつて白山信仰の拠点ともなったようで、加賀岩の岩屋からは13世紀の中国製の小瓶(青白磁の水注)が見つかっている。

ずっと「秋の一番いい日に行こう」と大切に残してあったこの山から、白山に続く野谷荘司山(ノダニジョウジヤマ:1,797.3m)、妙法山(1,775.6m)まで、修験者ルートをたどってきました(ロ。ロ)/

20141018猿ケ馬場山の朝日白山スーパー林道で三方岩岳駐車場まで上がってしまえば、山頂まで遊歩道で約50分。
8時に林道のゲートが開き、観光客が押し寄せる9時半前までに山頂に立ってしまおうと、6時15分、熊鈴を付け馬狩料金所脇から登山開始。
白川郷の背後にあたる猿ケ馬場山から昇る朝陽に輝くブナ林。
どの木も根が大きく曲がって、冬の豪雪を物語っている。
20141018槍穂遠望ブナ林を抜け、高度をあげると、猿ケ馬場山と人形山の稜線の向こうに、飛騨山脈がくっきり。
槍と穂高の稜線、がんばって登ったよなあ。。
20141018噴煙あげる御嶽御嶽の噴煙も確認することができた。(しばし黙祷)


と、小ピークの手前で、腰以上の笹藪がガサガサっと揺れる。
気が付けば、あたりはものすごい獣のにおい。
糞も見かけたし、たぶん、熊だ。
(熊鈴をちぎれるほど鳴らし、しばらく状況を確認後、息を殺して登山継続。)
20141018三方岩岳小ピークを越すと、三方岩岳の雄姿が眼前に。
恐怖の後だけに、染みるなあ。。
20141018白山飛騨岩を巻き、湿っぽいくぼ地をよじ登ると山頂に出る。
そこはまさしく白山の遙拝場。
新雪を薄くまとった白山は、心に祈りをもたらす。
白山スーパー林道の向こうには、笈ケ岳、大笠山、奈良岳、大門山。
笈ケ岳、ここから見てれば、すぐに登れそうだけど、残雪期苦労して登ったっけねえ。。
20141018笈ケ岳大笠山
ずっと眺めていたいけど、観光客と会うのは切ないので、山頂を後に。
野谷荘司山への稜線はアップダウンも少なく、快適な縦走路。

20141018野谷荘司山野谷荘司山というのは人の名のようで、珍名の山ハンターとしては気になるところ。
「野谷集落の源頭の山を意味し、荘司は純白の意があり、春遅くまで雪を残し、白く美しく輝く山であることから、名付けられたとされる」らしい。
(ただし、「荘司」は、一般には荘園の管理人(荘官)をさし、純白とする根拠は調べても見出せなかった。)


20141018妙法山野谷荘司山から妙法山まではコースタイムで片道2時間。
もうせん平までは楽しい縦走路だけど、その先はアップダウンが多くなり、樹林に視界も遮られがち。
修行僧の気分でもくもく進む。

20141018白山まで続く道ほぼ、正午に、妙法山山頂に到着。
この先に白山まで続く念仏尾根は、越中や加賀の修験者が通った道。
いつか、これら白山を巡るクラシックルートを縦走したいもの。
20141018鶴兵新道野谷荘司山まで引き返し、鶴平新道から下山。
このルートは、山麓の大窪の集落で民宿を営んでいた大杉鶴平さんが独力で拓かれたもの。
鶴平さんは、白山北縦走路を再興され、「白山の主」とも呼ばれていたそう。
野谷荘司山の東側は崩落が激しいため、新道の上部はなかなかスリリング。
途中からは、ブナ林のふかふかの道になって気持ちよく駆け下りることができた。

20141018鶴平さんの息子新道の入口の大杉の下には、ま新しい石の墓がぽつり。
これが鶴平さんの墓で、死後も道を護っておられるよう。

―なんて、しみじみしていたら、腰に籠を吊るしたおじさんが、話しかけてこられた。
実は、この方、鶴平さんの息子さんで、「『新道』なんて、親父が名付けたわけじゃない、『岳人』が勝手に付けたんだ」などと教えてくださる。

世界遺産になってから、白川郷は何が何だか分からない存在になっちゃったけど、少し離れれば飛騨の魂は、確かに今もあると感じた次第デ゙シタ。

<登山記録>
2014年10月18日(土) 快晴 単独行
―白川郷I.C.―鶴平新道入口(MTB駐輪)―馬狩料金所(駐車)6:20 …三方岩岳9:00〜:20 …野谷荘司山10:20 …妙法山12:00〜12:25 …野谷荘司山13:55 …鶴平新道分岐14:05 … 鶴平新道入口15:35 ―(MTB)― 馬狩料金所15:45―平瀬温泉―白鳥I.C.―(帰路)

<メモ>
・単独・軽装・快晴+下山道をMTBでつないだので、相当ハイペースで登ることができた。
・通常だと11時間程度の行程で、紅葉の時期であれば早朝発でも日没を覚悟した準備が必要。
・馬狩からのルートは熊は必ずいると覚悟して準備を。熊鈴必携で、突然出会わないよう注意して。
・白山スーパー林道利用なら、三方岩岳駐車場から三方岩岳まで約50分の楽々コース。
 三方岩岳は三角点がない。
・三方岩岳〜野谷荘司山までは快適な縦走路で人も多い。
・野谷荘司山〜妙法山までも道はしっかりしているが、長丁場ゆえ人は極端に少なくなる。
 途中のもうせん平あたりも、獣のにおいがしっかり残っていた。
・鶴平新道は上部の崩落地の通過を慎重に。

| ぼっち | 日本300名山 | 08:42 | comments(0) | - | にほんブログ村 アウトドアブログへ
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南会津の山めぐり(2)―七ケ岳(ナナツガタケ:1,635.8m)
南会津の山めぐり、2日目は七ケ岳。
その名は、最高峰の一番岳(七ケ岳)から七番岳(下岳)まで、7つの峰を連ねていることから。
登山道は、7つの峰をたどる稜線コースのほか、沢に沿う「黒森沢コース」、「平滑沢コース」がある。

ここは、やっぱりと、7つの峰を越えて登り、時間の短い黒森沢コースで下山する行程で計画。
しかし、Gan先輩は、「沢は登りで使った方がいい。天気も心配だから」とのご意見。
ごもっともと、黒森沢コースから入山することに。
 
20141012七ケ岳黒森沢登山道林道を離れ、黒森沢コースに入ると、しばらくはおだやかな登り。
徐々に斜度をあげ、沢に出会ったかと思うと…
20141012護摩滝いきなり「護摩滝(ごまたき)」が眼前に。
ここを登っていくのか。。

取りつけられたロープを頼りに、水しぶきを縫いながら岩をよじ登っていく。
なんか滑りやすいなと思ったら、岩の表面が一部凍結してた。
これが下りなら、さらにしょっぱかったはず。
Gan先輩のご意見をうかがって良かった。
20141012護摩滝中間部下から見上げたトップまでたどり着くと、滝はさらにずっと続いている。
おお! 久しぶりに、本格的な沢登り。
血が騒ぐ山馬鹿二人。

20141012護摩滝上部滝は一枚岩を滑るように、さらに上部まで続く。
ほとんど稜線直下まで、こんな具合。

20141012荒海山最後の灌木帯を詰めると、ポンと南に視界が開ける。
荒海山と、その向こうは日光連山。
 
もうひと登りで、一等三角点のある七ケ岳山頂に到着。
台風が迫っているとはおもえない秋空。
那須連峰、男鹿岳、高原山、日光連山が雲海に浮かび、
7つ並ぶ峰々の向こうには、会津盆地を囲む、飯豊山地、磐梯山、吾妻連峰などが勢ぞろい。

下山は、南東側に切り立った尾根道を七番岳、六番岳…とアップダウンを繰り返しながら標高を下げていく。
火山活動のあとを観るよう。

一番岳は三角点があって、下岳とも呼ばれる。
今は亡き1,800の山を極めたHさんなら、この山はいくつとカウントするのかな、なんて故人をしのぶ。20141012七ケ岳頂上
20141012コシアブラおだやかな樹林帯に入ると、深い秋空の青を透かす紅葉は、いくら見上げてもあきない。
淡い黄色の大きめの葉は、コシアブラ。
若い芽を天麩羅にするとうまいんだよね(←結局食欲か。。)

七ケ岳は、七森岳や荒倉岳とも呼ばれ、「新編会津風土記」には、「七森嶽 一名荒倉山、俗七嶽ト云 ・・七峯相並ヒ東西ニ連ナル、故ニコノ名アリ、西ノ第一峯最高ク一番嶽ト称ス・・コノ山ニママ大石ヲ転シ大木ヲ踣(たお)スカコトキ奇異ノ音ヲキキ、或ハアヤシキサマニテ馬ニ乗リ麓ヲ過ルモノヲ見ルコトアリト云、山鬼ノ所為ナリトテ土人怖アヘリ」と記載されているそう。
確かに、里からも七つの峰が連なって見えるその姿は、なにものかの特別な意志を感じてもおかしくない。

20141012山の神また、登山口は、里を離れ、林道でかなり奥まで入り込んでいるけれど、その途中、道の方に向いて、寛政や文政といった古い墓石が並んでいたり、巨木の下に山の神の祠と、首のない石仏が並んでいたり、独特の雰囲気がある。

「新編会津風土記」が編まれたのは文化年間だから、「土人怖アヘリ」と記されたのは、墓の主たちかもしれない。
―なんて想像はふくらむ。

いろんな意味で、個性の強い、だからこそ思い出深い名峰でありました。
<登山記録> (―:車、…:徒歩)
2014年10月12日(日) 快晴 メンバー:Gan先輩、botti

たかつえスキー場民宿4:15―七ケ岳稜線登山口(MTB駐輪)―黒森沢コース登山口(駐車)6:20 …護摩滝出合7:50 …(滝登り)… 七ケ岳山頂8:58〜9:35 …下岳11:10 …分岐11:57 下岳登山口12:15 ―(MTB)―黒森沢登山口―西那須野塩原I.C.―(宇都宮で餃子を食べて帰宅)0:35

<メモ>
・沢をたどるコースは、初級の沢登りといってもいい。心配な人はヘルメットを。
 雨の日、その前後は沢コースは避けた方がいいかも。
| ぼっち | 日本300名山 | 06:06 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ
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南会津の山めぐり(1)―荒海山(アラカイサン:1581m)
日本で一番大きな、福島県南会津郡。
只見町、南会津町、下郷町、檜枝岐村からなる、福島県でもっとも山深い地域。

只見町には、会津朝日岳浅草岳
下郷町には、那須岳(三本槍岳)、二岐岳
檜枝岐村には、燧岳、帝釈山会津駒ケ岳
そして、南会津町には、男鹿岳、田代岳、荒海山、七ケ岳
など、アルピニスト向けの山域じゃないけど、山馬鹿には心に染みる山が連なる。

恒例のGan先輩との「ふくしま応援登山」、この秋はそのうち荒海山、七ケ岳訪問を計画。
まずは、荒海山。

20141011荒海山林道那須塩原を越え、国道352号線から八総鉱山跡地にたどり着く。
かつて5百人以上が働いていたという鉱山も、今は、静かな谷に。

かつての歴史を思いながら、荒海川の源流を遡っていく。
20141011荒海山渡渉点林道は廃道めいていき、渡渉点で終わる。
20141011荒海山稜線まで水がちょろちょろ流れ、半ば沢のような登山道は、ハンノキ、トチ、サワグルミなどの渓畔林に覆われている。
次第に傾斜がきつくなり岩肌をロープに助けられながらよじ登っていく。
20141011荒海山遠望稜線に出ると紅葉の世界。
ブナ林が、ダケカンバやクロベ、ヤマグルマ、シャクナゲ、カエデなどの混合林に移ろい、木の間には荒海山の二つのピークが。
20141011七ケ岳遠望幾度かアップダウンを繰り返し、ロープに頼って岩壁をへつると、最後の鞍部。
ここからふたたびロープ頼りの急登が連続。

北側の視界がいきなり開けると、登ってきた稜線の向こうに特徴のある7つの峰、七ケ岳が。
20141011荒海山山頂壊れかけた「南稜小屋」を過ぎ、荒海山最高点(1,581m)に到着。
三角点は、その先の藪をごそごそやって進むピーク(1,580.6m)に。
(ルートファインディングのコツは、足元の踏み跡を追い続けること。)
20141011那須連峰福島・栃木両県にまたがる山頂は、抜群の眺望。
なんといっても東の那須連峰が花形。
山馬鹿としては、北に展開する南会津の山々からも目が離せないや。。

20141011荒海山山頂の石山頂には、今は南会津町に編入された田島町の町長さんがしたためた「大河の一滴ここより生まる 阿賀野川水源之標」の石碑が。

荒海山は分水嶺。
荒海川は、阿賀川となって会津盆地を流れ、越後に入って阿賀野川となり日本海にそそぎ込む。
南側の沢は鬼怒川に流れ込み、そして利根川に合流し太平洋に流れ込む。
―海と海が手をつなぐ山なんだ。


20141011荒海山下山いつまでも眺めていたいけど、秋の日は短い。
愛車奥地君の待つ鉱山跡にひき返す。

(ところで、林道に落ちる二人の影、Two Against Nature のジャケットに似てません?)


<登山記録> (―:車、…:徒歩)
2014年10月11日(土) 晴 メンバー:Gan先輩、botti

大坐小屋3:15―長野I.C.―西那須野塩原I.C.―(国道352号線・林道入口に案内図あり)―八総鉱山跡(駐車)8:40 …渡渉点9:30 …稜線取り付き10:10 …荒海山山頂12:00 …三角点12:30 …荒海山山頂12:40〜13:00 …稜線取り付き14:00 …渡渉点15:05 …鉱山跡15:30 ―たかつえスキー場(民宿泊)

<メモ>
・栃木・福島県県境の山だが、福島県側の八総鉱山跡から入られることがほとんど。
・国道352号線から鉱山跡への入口には案内板がある。
・鉱山跡で、路肩に駐車。その先にも林道は続き、道が水をかぶる地点の直前に駐車場と登山ポストがあるが道が悪いので、そこまで入るのはお勧めしない。
・登山上のポイントは、荒海側の渡渉、稜線までの岩肌の急登、山頂直下の岩肌の急登。好天であれば問題ないが、雨天時、その直後の登山は避けた方が無難。

・「荒海山」は福島県側の呼称。栃木県側の呼称は「太郎岳」。
・ただし、二つのピークのうち最高点を「太郎岳」、三角点のある方を「次郎岳」と呼んでいるようなのでややこしい。
・江戸時代を代表する地誌「新編会津風土記」では、「荒貝嶽」と表記され、「熨斗組岩下村(現南会津町)の東南にあり、頂まで二・十町計、北は本郡川島組瀧原村に属し、下野國鹽屋郡河島組芦澤村に属し、太郎嶽と云峯を以て界とす」と記されている。
・山全体の呼称と、ピークの呼称の関係を推測する手掛かりとなるんじゃないかな(ロ。ロ)/
| ぼっち | 日本300名山 | 14:04 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ
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