WALK あばうと 日本4,000山

「新日本山岳誌」掲載の約4000山が修行の地。 めざせ山仙人!
世界遺産醍醐寺
世界遺産「古都京都の文化財」指定の17社寺のひとつ、醍醐寺。
この寺を、三行で説明するなら、
・弘法大師の孫弟子、理源大師聖宝が開いた、真言宗系修験道の山上霊場(上醍醐)
・醍醐天皇以来、秀吉など時の権力と関わりながら山麓に形成された大伽藍(下醍醐)
・上下合わせて敷地200万余坪、国宝多数、特別史跡で特別名勝おまけに世界遺産
とまあ、「たいそうなお寺」であります。

前に行った時は、修験道の霊場という視点がなかったので、
改めてしっかり見ようかと、連れ合いと娘を連れて愛車OUT BACKの奥地君でGO!

「とにかく広んだからね!」「喉乾くから、飲み物もいるよ!」
と事前に釘をさしておいたのに、「上醍醐まで1時間」の案内板に、
「考えられない」
「勝手に行って来たら」と、パスされマシタ。。
ま、いいか。

241027醍醐寺五重塔山麓の下醍醐のシンボルは、五重塔。
醍醐天皇の冥福を祈るため天暦5年(951年)に建てられた京都府で最も古い建物。
よくこれだけ立派な塔が残ったもんだねえ。。
(おっと、先を急がなきゃ。)

241027女人堂前下醍醐のはずれにある女人堂。
いきなり山の気配が濃くなり、霊場のたたずまい。
山馬鹿のあこがれ、役行者も登場。
せせらぎ沿いの参道は、ほとんど登山道。
がぜん元気になる、ぼっち。
約40分で、秋風の吹き抜ける稜線に。
241027清瀧宮拝殿山上の伽藍は、風格ある建物が散在。
色づきかけた楓に埋もれた、簡素で優雅な建物は、清瀧宮拝殿。
室町時代の国宝建築は、神仏習合のたたずまいを今に伝えている。

241027醍醐寺薬師堂こちらの建物は、薬師堂。
保安2年(1121年)に作られた国宝の平安建築。

山上には、ほかにも豊臣秀頼寄進の如意輪堂・開山堂などもあるけど、山の中だけに、落雷などもたびたびあった。
五大堂は昭和初期に再建され、西国三十三箇所札所でもある准胝堂は、平成20年(2008年)に焼失したばかり。

そんな中、平安時代の修験のたたずまいを残す薬師堂は、よくぞ残ったもの。


241027上醍醐眺望薬師堂前から眺める山並み。
たぶんここから、鷲峰山(じゅうぶさん)や、竜門岳など、いくつかの山上霊場をつなぎながら吉野、熊野に至る「修験道スカイライン」とでもいうべきルートが確立していたはず。
南北朝時代、醍醐寺は、後醍醐天皇側とも、足利尊氏側とも関係が深かったとか。
「修験道スカイライン」を駆け抜ければ、京の情報は1昼夜のうちにも吉野まで届いたのでは。

秀吉の有名な花見は、吉野(文禄3年:1594年)と醍醐(慶長3年:1598年)で催された。
そこには、物見遊山の形の裏に、信仰と権力誇示と権謀うずまく特別な意味が込められたんだろう。

修験道パワーは、霊界だけでなく、現実世界においても、なみなみならぬ役割を果たしたんだ…なんて、考えはじめると、穏やかな山並みが、歴史そのもののようにみえてくる。
| ぼっち | ひとりごと | 16:27 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ
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裏剣の秋(3)―黎明の剱八ツ峰
10月8日。
満天の星空が黎明を迎える。
霜の降りた登山道をしばし登り、剱の八ツ峰に向かい合う展望台に出る。

241008チンネ黎明静かに日の出を待つ。
凛(りん)とした空気がそこにある。


241008チンネ日の出鹿島槍の向こうから、最初の朝日が射し込む。
まず、朝に染まるのはチンネの岩肌。

241008チンネ朝日岩壁のナナカマドが真っ赤に燃え、三ノ窓雪渓が、白に輝く。
一刻一刻が、宝物の時間。

241008チングルマの霜展望台を降り、霜の降りたテント場の脇を通って、池ノ平へ。
小屋の名にもなった谷底の平は、池塘が散らばり
紅葉したチングルマを、白く霜が覆っている。


241008八つ峰まだ、夜の色を水底に残す池に、剱が映る。
霜の草原に散らばる池塘ひとつひとつが、岩峰を映す水鏡。



241008池ノ平
池ノ平小屋を後にして、仙人峠から仙人新道を剱沢に下る。
この3連休が終われば、雪崩でつぶされないよう外される二股吊橋を渡る。
メインの真砂沢ロッジを経由する剱沢雪渓のルートを離れ、
ハシゴ谷乗越に登る。
ガレ場からは剱岳の本峰が、ひときわ大きい。
241008内蔵助平乗越の展望台からは、内蔵助平が見下ろせる。

裏剱は、荒々しい岩峰だけではなくて、こんな静かでおおらかな平も抱えているんだなあ。

「黒部の巨人」と呼ばれる丸山東壁を巻きながら内蔵助谷を降りていく。
ところどころ崩落してしょっぱいところ。
ようやく、黒部川本流に合流。
長かった裏剱のルートも終わりが近い。

3日間連日9時間近く歩いて、ひとつもピークを踏まないというのは初めての体験。
しかし、日本でも極めつけの山岳美を堪能できたから、
やはりこれも「縦走」ということにしておこう。

<登山記録>
10月8日(月) 快晴
池ノ平小屋7:10 …仙人峠7:40 …二股吊橋8:45 …真砂沢分岐9:35 …内蔵助平12:45 …内蔵助出合14:30 …黒部ダム16:05 16:35―(トロリーバス)―扇沢

<メモ>
二股吊橋は3連休が終わると外される。
内蔵助平から黒部川本流に出る内蔵助出合までのルートは、
一部崩落しているので、落石・滑落注意。
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裏剱の秋(2)―仙人池から池ノ平へ
10月7日。
標高800mの阿曽原温泉小屋から仙人池を経由して標高約2,100m池ノ平小屋まで。
ピークを一個も通らないのに、登りが7時間。。

まずは、仙人谷ダムから、仙人谷を渡り、尾根に取り付く。
2007年に拓かれた仙人温泉まで続く尾根道「雲切新道」。
胸突きの4時間あまりの急登は、涼しい秋だからこそ何とか踏ん張れる。

241007仙人温泉小屋ようやく、ブナの樹間に見えてきた仙人温泉。
仙人谷の源泉は、硫黄臭の噴煙をあげ続けている。
241007羊歯紅葉標高を稼いでいくと、紅葉がまず足元から始まる。
地味〜な、登りの後だけに、秋の色にひときわ魅かれる。

241007仙人池ヒュッテ仙人温泉小屋から、さらに2時間半。
ようやく仙人池ヒュッテに到着。
古いトタン壁を何度も補修した跡も山小屋の味わい。
241017仙人池小屋の前にある仙人池は、裏剱を映す絶好の撮影ポイントとして有名。
残念、今日は霧の中。

場所取りをしている三脚。
Gan先輩によると、フランスのGITZOというブランド品ばかりだとか。
マニアは大変だね。
(←あ、山馬鹿を棚に上げてた。)
241007池ノ平小屋露天風呂チングルマが赤く色づく仙人峠を経て、池ノ平小屋に到着。
湧水が豊富なので、薪でわかした露天風呂に入れるのが、一等のごちそう。

小屋は映画「剱岳―点の記」の撮影基地にもなり、この風呂には長次郎役の香川照之さんが入ったとか。



241007池ノ平山のカレンダー裏剱最奥の小屋は、いつもは(たぶん)暇なんだろうけど、
紅葉シーズンで最後の大忙し。

カレンダーの書き込みを読む。
この連休が終わると、
9日に布団を干して、
10日に二又の吊り橋が撤去されて、
11日に営業を終了。
そして冬支度の後、17日に下山。

夜中に霧も晴れて、満天の星空。
明日が楽しみ。
<登山記録>
10月7日(日) 曇り、わずかに通り雨
阿曽原温泉小屋6:30 …仙人谷ダム7:25 …1,629mピーク10:30 …仙人湯小屋11:00 …仙人池ヒュッテ13:50 …仙人峠14:30 …池ノ平小屋15:00

<メモ>
仙人谷ダムからの「雲切新道」は長丁場。
今回は秋なのでコースタイムより1時間早く歩けた。
夏はばてそうなので水分補給をしっかりと。
仙人温泉は入浴だけでも可。(たぶんばてそうだけど。。)
池ノ平小屋は、沸かし湯だけど風呂あり。
| ぼっち | 縦走主義でいこう! | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ
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裏剱の秋(1)―下の廊下

日本海の親不知から、南は焼岳・乗鞍岳まで、飛騨山脈は数知れず通ったけど、
黒部渓谷と剱岳にはさまれた「裏剱」は、空白地帯。
剱岳を逆さに映す仙人池に憧れても、あまりにそこは遠かった。

ようやく、Gan先輩、Tuboさん、Konちゃんという足のそろったメンバーで
この10月の3連休に訪問。そのレポートいってみます!

241006黒四ダム10月6日。
扇沢から7:00発のトロリーバスで、黒部ダムへ。
黒部渓谷の「下の廊下」を、阿曽原温泉小屋まで下っていく。
長い一日のはじまり。



241006下の廊下下の廊下の断崖をたどる「日電歩道」。
大正から昭和初期にかけて(1925〜1929年)
当時の日本電気が、ダム建設に先駆けて、ほとんど人力で作った道。
絶壁の16.6kmを作った先人にも、道を守り続ける今のおじさんたちにも頭が下がりマス。
241006Gan先輩下の廊下は、雪崩の巣でもある。
夏遅くまで雪に埋もれ、たどれるのは、秋の短い期間だけ。
今年は、長い夏の後で、残雪は少なく、紅葉は始まっていない。

余裕しゃくしゃくのGan先輩。
もう、こんなところで、お茶目をしないでくださいよ。
241006十字峡黒部川本流である下の廊下は、いくつもの沢と出会う。
もっとも有名なのは「十字峡」。
剱岳からの剱沢と、鹿島槍からの棒小屋沢が、ちょうど十字に合流。

阿曽原温泉小屋でひと夏バイトしていたKonちゃんに、前に来た時は知らなかった、合流部の岩まで降りるルートを教えてもらい感動。

241006S字峡谷底まで数百mの断崖はまだまだ続く。
ワイヤーにしがみつきながら、
谷がSの字に狭まった「S字峡」を見下ろす。
241006阿曽原小屋仙人谷ダムでいったん谷まで降り、もう一回登り返し、そして下って今日の宿、阿曽原温泉小屋へ。
ふう。

プレハブの小屋は、雪崩を避けて、冬には解体される。
241006管理人とKonちゃん管理人さんと、久しぶりの再会を果たしたKonちゃん。
ビールの差し入れありがとうございました。

秘湯ファン憧れの露天風呂にも入ったら、
明日の長丁場に備えて早く眠ろう。

<登山記録>
2012年10月6日(土)
メンバー:Gan,Tubo,Kon,botti
行程:(…徒歩、―車など)
―豊科I.C.―扇沢7:00―(トロリーバス)―黒部ダム7:16 …内蔵助谷出合8:30 …別山出合10:40 …十字峡12:20〜35 …東谷吊橋14:25 …阿曽原温泉小屋15:50(泊)

<メモ>
下の廊下は、両側からの雪崩で夏遅くまで埋もれ、全通は秋の短い期間のみ。
残雪や登山道のコンディションは毎年大きく異なるので、事前に確認を。
落石・滑落注意。ヘルメット着用が望ましい。

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