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お山の勉強室 「道迷い遭難対策」

ぼっちの登山人生の中で、遭難捜索のお手伝いをしたことが3回ある。

いずれも道迷い遭難で、3件とも死亡、うち2件は遺体も発見されずじまいとなった。

最近岐阜県の低山で遭難が相次ぎ、6月にも揖斐川町の西台山で遭難が発生した。

寒い時でなく無事救出されたのでよかったけれど、あと1日発見が遅れていたらどうなっていたことだろう。

 

道迷い遭難は、実は低山で多発し、遭難事故の中でも最も件数が多く、死亡事故にもつながる場合も少なくない。

ということで、今回のお山の勉強室は、本ケースを事例に「道迷い遭難対策」を一緒に考えてみましょう (ロ。ロ)/

 

<新聞による事実関係>

発生当日:6月2日(火)

 ^γ慮春日井市の男性(79歳)は6月2日に「日帰り登山に行く」と家族に伝えて自宅を出た。

 同日午後4時20分ごろに男性が「道に迷った」と携帯電話で家族に連絡。

発生2日目:3日

 3日早朝には男性から「道が分かった」と電話があった。

 ➃その後、連絡が取れなくなったため、家族が所属する山岳会の関係者に「帰宅しないので捜してほしい」と依頼した。

発生3日目:4日

 ィ監午前8時5分ごろ、所属する山岳会の関係者が岐阜県警揖斐署に届け出た。

  男性の車は揖斐郡揖斐川町谷汲神原の西台山の登山口付近で見つかり、同署や県警ヘリなどが周辺を捜索した。

発生4日目:5日

 Γ菊、岐阜県警の捜索隊によって発見、救出された。目立った外傷はなく、意識もはっきりしているという。

  県警によると、ヘリで上空から捜索していた警察航空隊員が5日午後2時ごろ、谷で横たわっていた男性を見つけた。
  男性は5メートルの高さから滑落したといい、下半身の痛みを訴えているという。

 

<現地の状況>

西台山(949m)には、ぼっちも2017年に登った。のりこし峠まで車で入れ、山頂までゆっくり歩いて1時間30分といったところ。

その北には地形図では三角点の記号だけで山名のない一等三角点通称タンポ(1,066m)という山がある。

どちらにも登山道はないが、タンポが「ぎふ百山」なのでそれなりに登られており、踏み跡や、残置テープ類がある。

しかし、踏み跡は獣道と紛れやすいし、残置テープは林業用のものなどと混じりやすく、信頼していいほどのものではない。

ちなみに個性も薄く眺望もない山で、登山道もないので、ぼっちの勝手に「岐阜百秀山」候補には入れていない。

地図のように西台山は山上が広く、タンポへ向かおうとすると迷う可能性がある。

全山樹木に覆われ、見通しはきかない。

<ケースワーク:道迷い遭難対策のポイント>

 道迷い遭難の対策には、道迷いを防止するポイントと、救助を得やすくするポイントがある。

 今回のケースで、そのポイントを見ていきましょう。

 

【登山前】

   崙帰り登山に行く」と家族に伝えて自宅を出た。

    →低山は地形があいまいで見晴らしもきかず、作業道や獣道が錯綜することが多く、むしろ高山より道迷いしやすい。

    しかし、低山ということで甘く見て遭難につながるケースが非常に多い。

    今回の西台山〜タンポは登山道がなく、しっかり読図していかないと道迷いしやすい箇所がいくつかある。           

 

  防止ポイント1:登山の前に地図でルートや注意点を確認する=登山計画書を作る

   →登山の鉄則は、登山ルートを事前に確認し、注意点を把握しておくこと。登山道のない山ならなおさら。

    登山計画書を作ればおのずと登山ルートの確認ができる。道迷いの発生しやすい低山こそ大事な工程。

  防止ポイント2:救助ポイント1:単独行はなるべく避ける

   →2人なら目は4つ、注意力は倍になり、道迷いの防止につながる。

    また、滑落などトラブルにあった場合、助け合ったり救助を求めたりすることができる。

  防止ポイント3:低山でも地図、磁石は必携。スマホがあればGPSアプリも入れておく

   →低山の方が、むしろ地形があいまいで道迷いしやすいことが多い。

    地図、磁石は必携。読図の訓練もしておきたい。

    また、今はスマホにただでGPSアプリがダウンロードできる。スマホを持っているなら絶対入れておくべき。

    https://yamahack.com/2723

    GPSアプリは、機内モードで利用でき案外バッテリーは消耗しないものだけど、

    遭難は何日にも及ぶ場合もあるので、救助ポイント4も含め、予備バッテリーは日帰り登山でも携帯したい。

    本件では、地図や磁石を持参していなかったのか、読図のスキルがなかったのか (?_?)>

 

  救助ポイント2:計画書を渡しておくor行先の山・ルートを伝えていく

   →この山の会では、登山届をパソコンかスマホで出すことがルール化されていたというが、男性は出していなかった。

    せめて家族に口頭かメールでどの山にどこから入山するか知らせておけば、捜索の開始時間と労力は大きく違ったはず。

    もしかしたら、新型コロナウィルス対策で他県への登山は自粛すべき期間だったから、行き先を告げなかったのだろうか?     

    ちなみに西台山で遭難との報道だけど、男性はタンポに向かっていて、西台山周辺で道迷いしてしまったのらしい。

 

【登山開始〜道迷い】

 同日午後4時20分ごろに男性が「道に迷った」と携帯電話で家族に連絡。

   →自分がどこにいるのか分からなくなった瞬間が、遭難の入口に立ったことになる。その場合、引き返すのが鉄則。

    本ケースでは、自分がどこにいるのか分からなくなってから半日ほど行動していたことになる。

    そのため、自分がどこにいるのか説明も困難になっていたはず。

   

  防止ポイント4:道なき山では、地図・コンパス・GPSなどで常に自分の位置、自分の行く方向を確認する

  防止ポイント5:道迷い時の鉄則は、迷ったかなと思ったら引き返 

    

 3日早朝には男性から「道が分かった」と電話があった。

   →この時点でも男性は自力で戻ることをあきらめていない。

    しかし、携帯が通じるうちに稜線の西か東かなど、おおよそどこにいるのか情報提供しておけば捜索範囲は絞れたはず。

    また、自分で直接山岳会に連絡していれば、捜索開始も早まったはず。

    そうでなくても、携帯の電波がつながっているところを動かなければ、救助側で場所特定ができたはず。

   

  救助ポイント3:SOSは早めに出す

  救助ポイント4:道に迷った時、携帯電話が通じるならそこを動かない

     

【遭難】  

 ➃その後、連絡が取れなくなったため、家族が所属する山岳会の関係者に「帰宅しないので捜してほしい」と依頼した。

 ィ監午前8時5分ごろ、所属する山岳会の関係者が岐阜県警揖斐署に届け出た。

  男性の車は揖斐郡揖斐川町谷汲神原の西台山の登山口付近で見つかり、同署や県警ヘリなどが周辺を捜索した。

   →どこから登り始めどの山へ向かおうとしていたのか、家族も山岳会も登山者の意図が分かっていない状況。

    そのため、山岳会が初動対応するにも最低限の事実把握に手間がかかるので、救助を要請するのが1日遅れている。

    今回は暖かく雨が降らなかったからいいものの、この遅れが原因で命を落としていてもおかしくない。

 

 Γ菊、岐阜県警の捜索隊によって発見、救出された。目立った外傷はなく、意識もはっきりしているという。

  県警によると、ヘリで上空から捜索していた警察航空隊員が5日午後2時ごろ、谷で横たわっていた男性を見つけた。
  男性は5メートルの高さから滑落したといい、下半身の痛みを訴えているという。

   →西谷山は、稜線の東側は比較的緩やかで300mほど下に等高線に沿って林道がある。

    一方、西側は急斜面の谷で電波が通じにくく、崖も多い。

    そのようなおおまかな地形も分からないまま、電波の通じない危険な場所に入り、滑落している。

    79歳という年齢からして、この段階でも命を落としていておかしくない。

    

  防止ポイント6:パニックに陥らないよう冷静に行動する。谷には降りない、できるだけ尾根に出る

  救助ポイント5:救助してもらいやすくするにはどうしたらいいか考えて行動する

 

   →パニックにならないようするには、事前準備をしっかりし、必要な技能を積んでおくこと。

    例えば、「できるだけ尾根に出る」と言うのは簡単だが、尾根の上方はヤブが密生していることも多い。

    ヤブ漕ぎの経験をしておくと、こんな時も慌てることはない。

 

<コメント>

・低山は、道迷いしやすいが、そのリカバリーも容易な場合がおおいので、甘く見られがち。

・しかし本ケースのように、道迷い防止ポイントを6つも外せば、遭難に至っても当然。

 この男性が、従来もこのような登山をしていたとするなら、遭難に至らなかったのは単に幸運だったからというしかない。

・ただし、この男性がそれでもラッキーだったのは、暖かい季節で雨も降らず、滑落しても大怪我でなくてすんだこと。

 携帯電話が一時にしてもつながったこと。そして、山岳会に入っていたこと。

 

・最後に―これは言いづらいことだけど、家族のことを考えれば、生還できなくても、せめて遺体を発見してもらう工夫も重要。

・発見されないと、失踪扱いとなり、生命保険も出ないから、家族には多大な捜索費用も含め、大きな負担ばかり遺す。

 さらに、生きているのか死んでいるのか分からないまま日々を送るのは、大きなストレスが続く。

 

<↓ここからは広告みたいになって恐縮です>

・ぼっちの場合、計画書は毎回家族に渡し、難易度の高い山に行く場合は山岳会の先輩に計画書を送っている。

 場合によってはアドバイスをいただく場合もある。

・しかし、道なき山の単独行も多いので、今回の遭難事例を踏まえ「ココヘリ COCOHELI」というサービスに加入した。

・入会すると、会員証を兼ねた約3ヵ月に1回充電すればいい発信機が送られてくる。

 この発信機の最大受信距離は16km、シンプルプランなど入会費3,000円、年会費3,650円。

・本人または家族から捜索依頼があると、受信機を搭載したヘリコプターを飛ばし、発信機の場所を特定してくれる。

 特定後、救助は警察など救助組織へ情報を引き継いで行ってもらう というもの。

出動費用は1事案につき、3フライトまで無料。航空会社と提携し、全国の山域をカバー( 沖縄・島嶼部を除く。)。

・遭難しても初動が早く、見付けてもらえる確率が確実に上がる。

 万一死んだ後でも、早期に発見される可能性が高くなる。

・使用結果はレポートしたくないけど、山でパニックになることを防ぐお守りとしてはいいのではないかと期待している次第。

←会員証券発信機。小さい。

 

<道迷い遭難対策のポイント まとめ> 

 

  防止ポイント1:登山の前に地図でルートや注意点を確認する=登山計画書を作る

  防止ポイント2:単独行をなるべく避ける 

  防止ポイント3:低山でも地図、磁石は必携。スマホがあればGPSアプリも入れておく

  防止ポイント4:道なき山では、地図・コンパス・GPSなどで常に自分の位置、自分の行く方向を確認する

  防止ポイント5:道迷い時の鉄則は、迷ったかなと思ったら引き返 

  防止ポイント6:谷には降りない、できるだけ尾根に出る

  防止ポイント補足:地図の読図トレーニングをしておく

 

  救助ポイント1:単独行をなるべく避ける 

  救助ポイント2:計画書を渡しておくor行先の山・ルートを伝えていく

   救助ポイント3:SOSは早めに出す

  救助ポイント4:道に迷った時やみくもに動かない、携帯電話が通じるならそこを動かない

  救助ポイント補足:あらかじめ山岳会に入ったり、ココヘリに加入するなど、救助してもらいやすい条件づくりをする

 

  心構え面ではひと言:低山を甘く見るな 

 

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