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岐阜県の山を知るには、川も知れ

昭和30年(1955年)に制定された「岐阜県民の歌」の一番には、「岐阜は木の国山の国」とある。

このフレーズは県民に広く知られ、森林率全国2位の岐阜県をあらわす、とてもいいキャッチフレーズだと、山馬鹿岐阜県民ぼっちは思っておりました。

 

ところが、2012年の「ぎふ『清流』国体」を契機にできた県のキャッチフレーズは、「清流の国ぎふ」。

https://www.pref.gifu.lg.jp/kensei/ken-gaiyo/seiryunokuni-zukuri/

山はどうした! と、岐阜県庁に直訴したい気分だけど、ここではぐっとガマン。

山は川の水をはぐくむし、川の源流部は山を構成する重要な要素でもある。

山を知るには、川も知れ―ということで、今回の「お山の勉強室」は、岐阜県の川について調べてみました  (ロ。ロ)/

 

〇岐阜県の降水量

川のもととなるのは、雨や雪。

国土地理院の日本国勢地図にある年間降水量の分布図によると、本州中央部では、岐阜県のあたりは降水量が特に多い。

これは、冬に日本海からの季節風の影響で豪雪に見舞われることと、夏に太平洋側の気候の影響を受け台風や豪雨に見舞われることが合わさり、通年の降水量が多いため。

豊富な水(降水)に恵まれ、森林率も全国2位と高いので、川を生み出す潜在能力が高いといえる。

○岐阜県の主な水系と分水嶺

本流・支流を合わせた一体の河川を「水系」という。

岐阜県の主な水系には、太平洋側に流れ込む、木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)からなる木曽川水系と、

日本海側に流れ込む、宮川、高原川からなる神通川水系と、庄川水系がある。

おおよそ、岐阜県の美濃地方(江戸以前の美濃国)の川は、太平洋側に流れ、

飛騨地方(同飛騨国)の川は、木曽川の上流飛騨川を除き、日本海側に流れる。

 

太平洋側と日本海側とに水系を分ける分水嶺となるのが乗鞍岳から大日ヶ岳までをつなぐ稜線で、中央分水嶺と呼ばれる。

中央分水嶺は、北海道から九州までのびていて、その最高峰が乗鞍岳(3,026m)。


○美濃地方の川

 美濃地方を流れる木曽川水系の川を見ると、

 木曽川とその支流飛騨川には、電源開発のために多くのダムが建設されている。

  しかし中流域は峡谷が形成され、そのうち「日本ライン」と呼ばれる部分は旧環境庁が選定した「名水百選」となっている。

  まずまず、清流と言っていいでしょう。

 長良川本流には、長良川河口堰以外ダムがない。

  岐阜市周辺の中流域は、「名水百選」となっており、清流の名に恥じない川と言えましょう。 

 揖斐川は、源流部に徳山ダムができてしまい、中流域も水がよどんで清流の印象はない。 

     かつて下流部は、尾張藩側の堤防が美濃側より高く作られていたこともあり、日本有数の水害の多い地域だった。

○飛騨地方の川

 庄川本流については、御母衣ダムの巨大なダム湖があり、「清流」の印象はない。

  ただし、国土交通省が発表している「全国一級河川の水質現況」によると、水質は良いようであります。

 神通川水系の、宮川高原川にもダムがいくつもある。

  宮川は、高山市や飛騨市の市街地を流れ、生活用水・農業用水も流れ込むので、清流というより普通の川という印象。

  高原川というと、飛騨山脈の多量の水を急勾配で一気に流すため「暴れ川」という印象。

  二つの川は飛騨市神岡で合流し神通川となる。

  神通川というと、かつての神岡鉱山の鉱毒による「イタイイタイ病」の印象がいまだに強いかもしれない。


○岐阜県河川の水質

 国土交通省が毎年発表している主要河川の水質の分析結果を見ると、岐阜県の川だけが特に水質がいいというわけでもなさそう。

 (↓画像クリックで拡大、太平洋側の川のみ)

 また、同省が、毎年7月の河川愛護月間にあわせて発表している「水質が最も良好な17河川」に、岐阜県の川は入っていない。 

 分析結果だけみると、特に「清流の国」というほどでもないように見えてしまうかも。

ただし、これは、本流の話。

これまで日本全国の山を巡り、今また岐阜県の山を集中的に回って感じるのは、

岐阜県は降水量が多い分、山に沢や本流に流れ込むまでの支流が多く、それらが格別にきれいなこと。

例えば、美濃地方だと、長良川の支流の板取川、高賀川、円原川、粥川、和良川、吉田川、 阿寺山地を流れる 木曽川の支流付知川、

飛騨地方だと、宮川支流の荒城川や、高原川支流の双六谷など、流れを眺めているだけで心が清められるほど水そのものが美しい。

もちろん、他都道府県でも、美しい水の沢や川は多いだろうけど、その密度がかなり高いことは確か。

 

○岐阜県の川の魅力

岐阜県の川の魅力は、ほぼ全県にわたり豊富な降水量、豊かな森林に恵まれ、源流部の山岳地帯に美しい沢や渓流を持ち、

それが集まって本流が滔々と里を潤し、川や水にまつわる生活文化を築いているところだと思う。

 

ただし、「清流の国ぎふ」を合言葉とする行政の方々は、そのような岐阜県の川や沢の魅力を十分に知ってこのキャッチフレーズを使っておられるんだろうか?

もしかして、「長良川はきれい→岐阜県の川は清流」と、安直に結び付けているだけってことはないのだろうか。

それでは、川も、山も、浮かばれない気がするし、岐阜県以外の人にきちんとその魅力を発信するのもむつかしい気がする。

〇余談

・全都道府県に、それぞれ「キャッチコピー」がある。

 水に関係あるのは、滋賀県「湖国滋賀」、大阪府「水都大阪」そして、

 和歌山県「水の国、わかやま」と、岐阜県「清流の国ぎふ」。

 琵琶湖が中央にある滋賀県と、伝統的に水都と言われてきた大阪府のキャッチコピーは、ありふれているけど納得。

 しかし、和歌山県と岐阜県、県名をひらがなにするところも含め似すぎているし、高知県なんかに入れ替えても分からない。

 和歌山県と岐阜県、降水量が多いという点以外、共通点はほとんどないのにキャッチコピーが似てるっていうのは、その県の売り物をうまく入れられていないということでは?

 和歌山県や高知県と、岐阜県の違いといえば、やはり槍ヶ岳、穂高岳、御嶽山、白山と名山高峰が多いってことじゃないのかな。

 明治時代から使われている「飛山濃水」(飛騨の山・美濃の水)というのは、固いけどその点よくできている気がする。

 

| ぼっち | お山の勉強室 | 08:03 | comments(0) | - | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!









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