WALK あばうと 日本4,000山

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失われた山と渓の名残りを求めて―日永岳再訪

奥美濃の山」をはじめて世に紹介した、昭和15年(1940年)刊行の安藤次男著「樹林の山旅」。

その中心舞台のひとつが揖斐川源流部の山と渓で、もうひとつが長良川の支流・板取川の源流部の山と渓であります。

 

これら名もなき手つかずの樹林の山域も、戦後の高度経済成長期をはさんで激変。

揖斐川源流部は、樹林の多くが伐採され、2008年にできた総貯水容量日本一の徳山ダム湖に集落や林道は沈んだ。

もう一方の板取川は、本流のダム建設計画こそ住民の反対で中止されたけれど、1995年揚水式の奥美濃発電所が建設され、源流部の川浦谷を囲む、ドウの天井の山頂直下に上池の川浦ダムが、左門岳のある根尾東谷川源流に下池の上大須ダムができた。

昨年2018年10月に、ドウの天井左門岳を調査登山したけれど、残念ながら「勝手に『岐阜百名山』」候補にはできなかった。

 

そのような中で、根尾東谷川最奥の上大須の集落に独り残られた元マタギのWさんのお話を伺い、日永岳はこの山域では比較的いいかもとおもわれた。

しかし、日永岳は、それに先立って登っており、舟伏山とダブルヘッダーだったこともあり、山頂の反射板以外印象が薄かった。

以上のような経緯で、失われた山と渓の名残りを求め、11月4日、日永岳を再訪・再調査してきました (ロ。ロ)/マエオキナガイ

長良川の支流神崎川を源流に向けて遡る。

途中、ゴロゴロの滝に出合う。清流長良川の、さらに支流ともなると、流れは磨かれたように清冽。

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神崎川上流部のガッパ谷に沿う仲越林道は、途中のゲートで通行止め。

ここに愛車奥地君を待たせ、熊鈴を付けて林道終点をめざす。

日永岳一帯は美濃地方中央部では数少ない国有林で、林道の整備が行き届いているのがありがたい。

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林道奥に、日永岳が見えてくる。

山頂の反射板は見えないけど、全体に植林が多く、やっぱり個性は感じられない山容だな。。

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林道終点から、沢を渡り、尾根に取り付く。

山頂に電力会社の通信用反射板があるので、巡視路が整備されている。

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ヒノキ中心の植林帯を急登していくと、梯子なども出てくる。

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千mを越えたあたりで、植林から紅葉した二次林にかわる。

稜線直下の急斜面をへつるところが崩れたり、倒木があったりして、通過注意。

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稜線に出ると、立派なヒノキの天然林が、目印のように幾本か残されている。

ごつい枝でも、普通のヒノキの大木くらいの太さ。

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稜線上にある大岩の上に立つと、神崎川の谷と、舟伏山、遥かに濃尾平野が名古屋まで見える。

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登って来た南側斜面が植林帯だったのに対し、稜線の北側は急峻な斜面に天然ヒノキとブナなど落葉広葉樹林が張り付く。

行く手に反射板が見えてくる。

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ワイヤーや梯子も出てくる急な稜線を登りつめ、道に被さるササをしばらくかき分けると、日永岳前峰(1,206m)に出る。

稜線南が本巣市で、北が関市。ここが山県市の最北端で、最高点になる。

三角点に見えるのは、柱の四隅が三角に落とされて「宮」のマークがある旧宮内省御料林の標識。

きっと、ヒノキの銘木を産出する山として、特別に重要視されていたのでしょう。

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前峰から5分ほどで反射板のある本峰に到着。

三等三角点のある山頂は、ざっくり刈り払われ、岩に乗ったり、木の切り株に登ったりすれば、360度の展望が得られる。

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西側の右肩上がりでコブコブにせりあがるのが、ドウの天井の稜線。

その先に川浦ダムがあって、そのすぐ後ろがドウの天井の山頂となる。

稜線背後には、左手から大白木山、能郷白山、福井県側の部子山・銀杏峯をはさんで屏風山などが見える。

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前山、イソクラを従えた能郷白山は、どっしり茫洋とした姿をみせる。

江戸時代末期になるまで、美濃の国絵図にこの山が登場しないのも、そのつかみどころのない姿ゆえかもしれない。

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東北方向には、御嶽山、乗鞍岳から飛騨山脈までおおらかに展開。

直近に登った川上岳に比べれば遠くはなるけれど、美濃側ではこれほどの展望はなかなか得られない。
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東南方向には、高賀三山の背後に恵那山、その左に木曽山脈、右になんと赤石山脈まで見える。

眺望は満点をあげてもいいでしょう。

三連休は天候に恵まれ、眺望絶佳な山に連続して登り、くたびれ気味だけど、やはり飽きずに1時間ほど眺めておりました。

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帰路、急降下する稜線を見下ろすと、稜線北側、川浦谷方面は手付かずの原生林が残されているのが分かる。

元マタギのWさんにキノコの宝庫と教えてもらった北側のイタゴ洞側へヤブ漕ぎして降りてみたけど、地形図にある破線の徒歩道は、すっかり消えていた。

そのかわり、ブナやミズナラが立派で、登山にはさることながら、沢登りには今でも素晴らしいエリアだと実感できた。

 

下山途中、ヘルメット姿で登ってくる作業員3名とすれ違う。

昨年の大型台風の影響で後回しになっていた巡視路の整備に来たのだとのこと。

ルートはどうでしたかと尋ねられたので、少々荒れたり、ササが被った部分を報告しておいた。

きっと来週くらいは、整備されて道はもっと良くなっているはず。


再調査の総評「日永岳は標高1,216m、舟伏山の後ろになって里からは山容を同定しにくい地味な山だが、登山道がない山も多い『奥美濃の山』の中で、国有林であることからアプローチの林道がしっかりしており、山頂の反射板のための巡視路がある。そのため安心して登れ、林道歩きも含め往復4時間程度の日帰りの山。登山道沿いは稜線に出るまでは展望のきかない植林帯の急登ながら、稜線および北側斜面は、ヒノキとブナやミズナラなどの天然林が残り、見晴らしも良くなる。山頂の反射板は登山者には厄介ものだけど、その分刈り払いがされ、さらに山の位置、山頂の形状などの条件がそろい、360度の好展望が得られる。在りし日の奥美濃東部の樹林の山々を偲ぶことができる興深い山でしょう。」

 

いずれにしても、この山域は、ピークというより、渓の方が主役といえそう。

ぼっちも、山の会の沢登りエキスパートの皆さんにおねだりして、川浦谷などを訪ねたいものであります。

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<登山記録>  (―:車、…:徒歩)  (↓地図クリックで拡大)

2019年11月4日(月・祝) 快晴

自宅4:30―仲越林道駐車点7:40…林道終点8:15…稜線9:25…前峰9:50…日永岳山頂9:50~10:50…林道終点12:00…駐車点12:20ー(帰路)

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