WALK あばうと 日本4,000山

「新日本山岳誌」掲載の約4000山が修行の地。 めざせ山仙人!
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剱岳北方稜線縦走記(2)―劔沢雪渓・長次郎雪渓・小窓雪渓

8月12日(日) ヘッドライトを点し3:55出発、アイゼンを着け剱沢に入る。

まずは、白馬大雪渓、針ノ木雪渓とともに日本三大雪渓と呼ばれる剱沢雪渓を踏めただけでもうれしい。

20180812劔沢雪渓.jpg

剱沢から剱岳方向に最初に分かれるのが平蔵谷。

この谷の雪渓を詰め、剱と前剱の鞍部を目指す登山者が小さく見える。

20180812平蔵谷.jpg

その次に現れる長次郎谷が、今回われわれが剱岳北方稜線に取り付くルート。

谷は、明治40年(1907年)、参謀本部陸地測量部による剱岳測量が行われた時、登頂のルートに使われた歴史を持ち、その名は名山案内人宇治長次郎にちなむ。

そんな名ルートを登れるだけで武者震い。昨日山岳警備隊に上部のコンディションは悪いと聞いたから、慎重に進む。

20180812長次郎谷出合.jpg

長次郎雪渓の中ほど右手に鋸の歯のような大岩壁が連続して現れる。

ここが、八ツ峰VI峰フェース群(Aフェース、Bフェース、Cフェース、Dフェース)とよばれるロッククライミングの名高い岩場。

剱岳は、穂高岳、谷川岳とともに「日本三大岩場」と呼ばれている。(←なんでも三大と付ければありがたそう。。)

雪渓中ほど中央にある熊の岩という大岩の上の平地をベースキャンプにして、何人ものクライマーがフェースに張り付いている。

ロッククライミング志向の強いHiさん、Nさんは天気さえ恵まれればこのCフェースに取り付く計画だった。

20180812Cフェイス.jpg

熊の岩から谷は右俣と左俣に分かれる。

左俣は狭く、雪渓はズタズタに切れ、通れる状況ではないので、右俣を進む。次第に霧が濃くなってきた。

20180812熊岩.jpg

右俣も上部になると、雪渓に横にいくつもの亀裂が入り、いちいち乗り越していくのが大変になってくる。

最後は岩壁と雪渓の間にできた溝に降り、溝伝いに稜線鞍部の池ノ谷乗越を目指す。

20180812長次郎谷上部.jpg

ようやく打ち出た池ノ谷乗越はほとんど視界がきかない。

こんな悪い場所にもテントがひと張り張られ、広島から来たという登山者に会う。

コンディションが良ければここから剱岳山頂を往復するつもりだったけど、視界がきかず、霧のために岩が濡れてきたので、山頂は寄らず、直接「剱岳北方稜線」を北に縦走開始。

稜線を30分ほど進むと霧に塞がれた「三ノ窓」に出る。

ちなみに「窓」とは富山弁で、長野弁の「キレット(切戸)」と同様、岩稜の近い深く切れ込んだ場所を指すが、キレットの方がやや深く規模が大きい場所に用いられるような感じ。

20180812三ノ窓.jpg

ルートは、不安定な浮石だらけで、落石と滑落に注意しながら慎重に進む。

踏み跡は薄く、溺れそうな霧の中なので、Nuリーダーは何度も立ち止まり、行く手を見定める。

晴れていれば足場確保も、ルートファインディングもずいぶん楽なんだろうけど、こういう時ほど技量・経験の差がはっきりする。

20180812小窓へ向かう.jpg

下降点となる「小窓」を目指しひたすら進むと、途中の小ピークを巻くあたりで、先行するパーティーが行く手を見失ってうろうろしている。

カラビナをいくつも付けて、岩登りの心得はありそうな風体で、「この先まで進んでみたけれど、渡れそうにない雪渓があるから、ルートを探しているところ」とのこと。

その言葉を聞いて、いろいろ探ってみたけれど、やはりどう考えても雪渓を渡るのが、妥当なルート。

ハーケンを打ち、Nさんがザイルを確保し、Nuさんが途中に支持点としてピッケルを深く差しながら先行する。

このポイントから下はというと、谷底まで続く雪の急斜面となっているので、メンバーは慎重に渡る。

我々が渡ったのを見て、先行していたパーティーも追随。

「渡れそうにないのは自分たちであって、それを他人に一般論のように伝えるのはおかしい」

Hiさんがそう言ったとおり、おかげでけっこう時間をロスしてしまった。

20180812ルンゼを渡る.jpg

くたびれて、ちょっと休憩。小窓はまだ遠い。。

剱岳往復3時間を割愛して、結果オーライだった。

20180812疲労困憊.jpg

ようやく、池ノ平山(2,561m)に挟まれた「小窓」が見えてくる。

視界もずいぶん良くなってきた。

20180812小窓.jpg

おだやかそうな小窓雪渓を下降する。

実は、この小窓雪渓は、日本で数か所しか確認されていない氷河なんだそう。

剱沢雪渓や白馬大雪渓は、雪は厚く大規模でも、氷体部分がないので氷河とはみなされないんだとか。

20180812小窓雪渓.jpg

雪渓の先は、滝になって落ち込むので、それより手前で大正から昭和初期に池ノ谷山にあったモリブデン鉱山の旧鉱山道に入る必要がある。

取付き点の岩に丸いペンキの印があったので助かった。

ただし、急斜面をへつっていく旧鉱山道は通常の登山道より心細いくらいで、ところどころ崩落しているので、気は抜けない。

池ノ平小屋が近づいたあたりに「この先通行不能」との札があった。むむ。。

20180812鉱山道取付き.jpg

ようやく池ノ谷小屋に到着。かつて10月、下の廊下を周回した時に泊まったことがある懐かしい場所。

あの時、裏劔を憧れとともに見上げたけど、あの向こうから歩いて来たんだなあ。。

池ノ平小屋は収容人員が少なく、予約が取れなかったので、今回はさらに仙人池ヒュッテまで向かわなければならない。

日暮れかけて道遠し。

長丁場のあまりダウン気味のメンバーに付き添って後から追いかけることとし、他のメンバーには先行してもらう。

20180812池ノ平小屋.jpg

仙人峠を越え、17:45ようやく仙人ヒュッテに到着。

農鳥小屋の親父さんなら、怒鳴りつけられている時間だな。。(いちおう池ノ平小屋から連絡入れてもらったけど。。)

明日は雨との予報なので、夕食前に仙人池からの裏剱をしっかり拝んでおく。

 

紅葉シーズンには超満員となる仙人池ヒュッテも、夏はいたって静か。

風呂も沸いていて、長丁場の後の身には、感謝しかない。

20180812仙人池.jpg

<登山記録> (…:徒歩)

2018年8月12日(日) 曇ときどき霧雨、のち曇

剱沢野営場3:55…長次郎谷出合5:30…右俣左俣分岐(休憩)7:15…池ノ谷乗越9:30…三ノ窓10:05…(この間ルート取りに1時間半ほどのロスタイム)…小窓の王の先の小雪渓12:40…小窓14:20…(小窓雪渓)…鉱山道取付点15:00…池ノ谷小屋15:50〜16:10…仙人峠16:45…仙人池ヒュッテ(泊)17:45

<メモ>

・「剱沢北方稜線」は、その名前にもひかれ入山者は一定数あるが、登山道としては整備されていない。

 死亡事故もたびたび発生している。

 雪渓横断、もろく足場の悪い岩場の通過などがあり、ヘルメット、アイゼン、ピッケル、ザイル、ハーネスなどは必携。

 登攀技術のしっかりしたリーダーの下で慎重に行動したい。天候の変化にも留意し余裕を持った計画で。

・雪渓の状況は、年によって・時季によってどんどん変わり、通行の可否、難易度は古い情報はあてにならない。

 より詳細な情報は、剱沢の富山県警上市警察署剱沢警備派出所が把握されている。

 踏み跡やかすかなペンキなども見られるが、崩落や雪の状況で取るべきルートは刻々変わるので頼り切らないこと。

 

| ぼっち | 縦走主義でいこう! | 20:54 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!









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