WALK あばうと 日本4,000山

「新日本山岳誌」掲載の約4000山が修行の地。 めざせ山仙人!
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飛騨山脈岐阜県側調査登山(1)―南岳新道から

飛騨山脈―いわゆる「北アルプス」は、長野県・岐阜県・富山県・新潟県にまたがり、日本の高山100位までのうち52山を含む、大山岳地帯。

そのうち、主稜線の三俣蓮華岳から南と笠ヶ岳の稜線が岐阜県側にあたる。

広大なエリアにさまざまな個性の高峰がひしめくけど、「『岐阜百名山』勝手に選定委員会」のぼっちとしては、この山域の調査・選定は避けては通れない。

昨年の飛騨山脈西南部大縦走に引き続き、新穂高温泉を起点に南岳新道から槍ヶ岳西鎌尾根を経て三俣蓮華岳から小池新道で周回し、山頂踏査だけでなく、他の山から山容もしっかり観察してきました (ロ。ロ)/アシガスリヘッタ

 

槍・穂高の登山基地と言えば、長野県側の上高地が有名だけど、岐阜県側の新穂高温泉も飛騨山脈南部の重要な基地だった。

しかし、大正9年笠ヶ岳の穴ヶ谷の土石流で中心部の蒲田温泉が壊滅、昭和9年にバス路線の開通し登山ブームの中心となる上高地側に大きく後れを取る。

戦後、鏡平から双六岳方面に向かう小池新道、笠新道などが開かれ、1970年に新穂高ロープウェイが開設、さらに中部縦貫自動車道の安房トンネルも開通し、首都圏・長野県側からのアクセスが格段に良くなった。

そして何といってもありがたいのは、自家用車で直接アクセスできることで、駐車場には関東・関西・北陸など各方面のナンバーがひしめく。

登山届を出す三角屋根の登山指導センターの背後で、蒲田川は槍ヶ岳に続く右俣谷と、笠ヶ岳・双六岳に向かう左俣谷に分かれる。

今回は、右俣谷を遡行。

20180804新穂高温泉.jpg

快晴の夏山シーズン週末、多くの登山者の行き来がある。

人影少ない山ばっかり行っているぼっちは、15人抜き・5人抜かれなんて思わず勘定しちゃってストレス溜まります。。

20180804槍平小屋.jpg

登山者でにぎわう槍平小屋の東側の斜面に、槍ヶ岳の南に位置する南岳に向かう南岳新道の登山口がひっそり開かれている。

飛騨山脈中核部にありながら、マジック書きの道標には、通行困難箇所があるとの注意書き付き。

この先、南岳小屋まで、下山者5名とすれ違っただけという静けさ。

20180804南岳新道入口.jpg

南岳新道の難所の第一は、南沢の通過。

滝谷同様かなり荒れていて、しばらく岩の間を登り、対岸の急な尾根に取り付く。

雨の時などは、状況が一変しそう。。

20180804南沢.jpg

ハシゴ・木道の老朽化の度合いは画像の程度、それなりに手は入れてあるけれど、全体的な老朽化は否めない。

後で、南岳小屋のご主人に伺ったところによると、南岳新道の前身の道が1998年の地震で崩れ、翌1999年、2000年のインターハイのコースとして当時の上宝村が県の予算で整備したのが、現在の道なんだそう。

20180804南岳新道登山道.jpg

息つく踊場さえほとんどない急な尾根の途中で振り返ると、先週登った奥丸山(2,440m)の上に、笠ヶ岳方面が見えてくる。

笠ヶ岳(2,898m)の北に続く抜戸岳(2,813m)は、見る場所によっては笠ヶ岳と間違えるほど立派な山容だし、標高も十分だから単独で「岐阜百名山」に入れたいほど。

しかし、この山は笠新道で笠ヶ岳へ至る通過点であって目的地としては登られていないし、笠ヶ岳と抜戸岳の間に形づくられた氷河地形の圏谷(カール)と、そこに展開するお花畑の見事さは分けがたい。

登山の対象としては、笠ヶ岳という場合、抜戸岳も包含されると考えた方がいいのではと思う。

 

それに対し、南側の錫杖岳(2,168m)は、標高も低く、南岳側からは「おまけ」のようにしか見えない。

しかし、新穂高温泉あたりから見上げた時その荒々しい岩峰群は、笠ヶ岳とは全く違う個性を持っている。

飛騨山岳会のロッククライミングの歴史を飾った山であり、笠ヶ岳とは登攀ルートも重ならない(というか一般登山道はない)。

やはり、錫杖岳は、岐阜県の誇る山岳のひとつとして挙げたいところ。

20180804笠ヶ岳方面.jpg

いつしか、新道は、森林限界を超え南岳(3,033m)のピークが見えてくる。

こうやって見ると立派な山容で、標高も乗鞍岳・立山・白馬岳などより高いのに、槍ヶ岳(3,180m)大喰岳(3,101m)中岳(3,084m)と連なっているため地味に見えてしまうのがかわいそう(↓弓折岳側からの参考画像参照)。

20180804南岳.jpg

 

尾根から鎖のある斜面をへつり、雪田を横切るあたりが、今回の最難所。

7月初旬、雪の固い条件だと、アイゼンがほしいところ。

20180804南岳新道へつり部分.jpg

斜面の雪の消えた場所はお花畑になっている。

チングルマはもう綿毛になっていたけれど、ウサギギク、ヨツバシオガマ、タカツメクサ、タカネヤハズハハコ、ミヤマダイコンソウなどが咲いていた。

20180804南岳高山植物.jpg

大キレットを南に控えた窪地に南岳小屋とキャンプ地が開かれている。

こじんまりして、居心地のいい小屋だった。

20180804南岳小屋.jpg

南岳で圧巻なのは、大キレットを挟んで南に向かい合う北穂高岳の勇姿。

日本でアルピニズムという言葉に恥じない数少ない場所でしょう。

20180804北穂高岳.jpg

北側には、中岳、大喰岳の向こうに槍ヶ岳。

20180804南岳から槍ヶ岳.jpg

そして、東側の谷には、名高いロッククライミングの舞台:屏風岩、その向こうに蝶ヶ岳。

実は、南岳がもっとも立派に見えるのは、蝶ヶ岳からで、横尾尾根と屏風岩の間に南岳がカールを見せてそびえる。

大喰岳、中岳には三角点はなく直接登る登山道もないので槍ヶ岳への単なる通過点になりがち。

(鎗沢から中岳の東斜面の天狗池経由で主稜線に取り付くルートがあるが、分岐点は南岳寄りになっている。)

南岳には三角点があり、南側に大キレットがあって標高を感じられ、この山への登山道があるので、斜面のお花畑や氷河地形も楽しめる。

「ぎふ百山」発刊の頃には、まだ南岳新道も整備されていなかったけど、この静かな絶景の山は、単独の山としてもっと評価されていいと思う。

特に、山岳写真愛好家にはおすすめの山です。

20180804屏風岩から蝶ヶ岳.jpg

<登山記録> (−:車、…:徒歩)

2018年8月3日(金) 新穂高温泉21:30(車中泊)

4日(土) 晴

新穂高温泉5:00…穂高平6:25…白出沢7:00…滝谷出合8:05…槍平小屋9:05〜9:15…南岳小屋13:05…南岳往復…小屋(泊)

<メモ>

・南岳新道は、飛騨山脈の一般ルートに比べ、利用者は少なく、整備も行き届いていない。

 特に下部の南沢が近年の水害で荒れており、小屋では下山にはなるべく使わないでとのPRがされている。

・好天であれば、それほど問題はないとの印象だった。しかし、にわか雨などで、急な増水があった場合は影響が出そう。

・岐阜県側からの主稜線へ取付くことができる貴重なルートであり、廃道とならないよう何とか守っていただきたいもの。

 

| ぼっち | 「岐阜百名山」勝手に選定委員会 | 06:30 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!









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