ぼっちの「岐阜百秀山」勝手に選定委員会の調査登山、残すところは錫杖岳と御嶽山。
そのうち錫杖岳に、地元山の会で8月1日(土)に前夜泊し、2日(日)に20余年ぶりに登ってきました (ロ。ロ;)/ヨウヤク
錫杖岳は、県内の山ではありますが、「密」を避け、車は3人程度とし、マスク着用、換気のため窓を開け、
ソロテント、夕飯は各自、夜の懇親も2m以上ソーシャルディスタンスを取っての開催。
それでも、新型コロナウィルス+長梅雨で久しぶりの山仲間とのビールはうまかった。
翌2日5:10、笠ヶ岳クリヤ谷ルートの登山口から入山。
梅雨の名残りで増水気味だったけど、クリヤ谷ルート最大の難関の渡渉も無事通過。
錫杖沢出合で、クリヤ谷ルートと分かれる。
ここから見上げる岩峰が錫杖岳ピークかと思ったら、前衛フェースと呼ばれる部分なのだそう。
この背後に本峰フェースがあり、その上が、錫杖岳のピークとなる。
ロッククライミングにおいては、この400mの高さでそそり立つ前衛フェースが中核となる。
同行の地元山の会のレジェンド、K2登山隊にも参加されたNu先輩によると、手掛かりの草木も少なく、穂高よりグレードが高いくらいとのこと。
そのうち白壁と呼ばれるとりわけむつかしい部分に、先日お亡くなりになったSさんと挑まれた話を伺う。
今日も、岩場には、複数パーティーが取り付いている。すごいなあ。。
われわれは、錫杖岳山頂に向けて、錫杖沢を遡行する。
だいたい濡れなくても行けるけど、沢登りに準じた登攀やルートファインディングの技術がいる。
途中にある錫杖の岩屋。数々の物語を秘めた場所なんでしょう。
前衛フェース越しに眺める穂高連峰。
昨年同じメンバーで、ジャンダルムに立った。
今年は、重太郎新道下部あたりが、多発している群発地震の震源部分らしく、ルートに崩落が起こっているという。
新型コロナウィルスばかりでなく、世の中は常ならないことばかり。人の命もまた。
それでも、見上げる山は美しい。
岩屋から錫杖本沢を詰めていくと、左右の沢に分かれる二俣に出る。
ここで右の沢に入り、さらに二つに分かれる沢の右側から左側にトラヴァースして登高すると鞍部に至る。
この二俣以降は、踏み跡も不明瞭になり、ベテラン沢屋のメンバーがルート確認し、無事鞍部に到着。
この山だけは、単独行は無理だなと実感。
鞍部付近は踏み跡も不確かで倒木も多い。稜線左手に入ると、赤テープが出てきて、踏み跡も明瞭になる。
踏み迷いも多いので、慎重に進む。
錫杖岳本峰部分が見えてくる。どうやって登るのかしらんという感じ。
ササ付きの斜面を慎重にへつる。浮石注意。
振り返る稜線と、その背後の大木場ノ辻(2,234m)。
何とか、山頂が近付いてきた。
11:00ピッケルが埋め込まれた錫杖岳ピークに到達。高度感あります。
地図上の2,168mピークは、少し先になるけれど、そこに到達するのはもうロッククライミングの世界で、
登山上はこの部分で登頂というお約束になっている。
錫杖沢を見下ろす。手前左手の岩峰が錫杖岳のシンボルともいえる烏帽子岩。
帰路も気を抜けない。疲れもあるので慎重に下降する。
登りでは普通に大岩を巻きながらよじ登ってきた部分が、下降になると下が見えなくてルート取りが難しい。
岩上部をへつる箇所でザイルを出し、簡易ハーネスで安全確保。もうちょっと心配な人は、茂みの中を大回りする。
なかなか最後まで気の抜けない山行だった。その分、達成感は一杯。
<登山記録> (―:車、…:徒歩) (↓地図クリックで拡大)
2020年8月1日(土) 晴 メンバー:N(L)、Nu(SL)、H、I、G、F、S、O、Og、botti
集合14:00―中尾口(テント泊)
2日(日) 晴のち時々曇
中尾口5:10…笠ヶ岳クリヤ谷登山口5:15…渡渉点6:05…錫杖沢出合6:45…錫杖岩小屋7:20〜7:35…鞍部10:00…錫杖岳山頂11:00〜11:30…渡渉点16:40…登山口17:35
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<メモ>
・笠ヶ岳の南に続く岩に覆われた山で、「飛騨の怪峰」とも呼ばれる。
・ロッククライマーには知られた山だが、登山の山としてはマイナーで、登山道もない。
・地図・磁石、GPS等を使い、踏み跡や赤テープを手掛かりにしながら錫杖沢沿いに登る。
登攀や沢登りの基礎技術が必要で、ヘルメット必携。
クライマーのアプローチの踏み跡の方が、山頂に向かう踏み跡より明確だったりするので要注意。
・山と渓谷社「分県登山ガイド岐阜県の山」(2017年版)に掲載されている(著者がこの山にかかわりの深いクライマーゆえか)。
しかし、穂高岳のような難しさと違う、自己責任の山ゆえの難しさがあり、一般登山の山ではない。
ガイドブックの簡略な地図だけで登ろうなんてことのないように。単独行は避けるべき。
・クライマーが通らない錫杖沢上部は踏み跡が薄く、地形が複雑なのでしっかりルートファインディングする。特に下山が難しい。
・鞍部から先は案外踏み跡が明確だが、帰路思わぬ踏み迷い道に入ってしまうこともあるので慎重に。