WALK あばうと 日本4,000山

「新日本山岳誌」掲載の約4000山が修行の地。 めざせ山仙人!
剱岳北方稜線縦走記(2)―劔沢雪渓・長次郎雪渓・小窓雪渓

8月12日(日) ヘッドライトを点し3:55出発、アイゼンを着け剱沢に入る。

まずは、白馬大雪渓、針ノ木雪渓とともに日本三大雪渓と呼ばれる剱沢雪渓を踏めただけでもうれしい。

20180812劔沢雪渓.jpg

剱沢から剱岳方向に最初に分かれるのが平蔵谷。

この谷の雪渓を詰め、剱と前剱の鞍部を目指す登山者が小さく見える。

20180812平蔵谷.jpg

その次に現れる長次郎谷が、今回われわれが剱岳北方稜線に取り付くルート。

谷は、明治40年(1907年)、参謀本部陸地測量部による剱岳測量が行われた時、登頂のルートに使われた歴史を持ち、その名は名山案内人宇治長次郎にちなむ。

そんな名ルートを登れるだけで武者震い。昨日山岳警備隊に上部のコンディションは悪いと聞いたから、慎重に進む。

20180812長次郎谷出合.jpg

長次郎雪渓の中ほど右手に鋸の歯のような大岩壁が連続して現れる。

ここが、八ツ峰VI峰フェース群(Aフェース、Bフェース、Cフェース、Dフェース)とよばれるロッククライミングの名高い岩場。

剱岳は、穂高岳、谷川岳とともに「日本三大岩場」と呼ばれている。(←なんでも三大と付ければありがたそう。。)

雪渓中ほど中央にある熊の岩という大岩の上の平地をベースキャンプにして、何人ものクライマーがフェースに張り付いている。

ロッククライミング志向の強いHiさん、Nさんは天気さえ恵まれればこのCフェースに取り付く計画だった。

20180812Cフェイス.jpg

熊の岩から谷は右俣と左俣に分かれる。

左俣は狭く、雪渓はズタズタに切れ、通れる状況ではないので、右俣を進む。次第に霧が濃くなってきた。

20180812熊岩.jpg

右俣も上部になると、雪渓に横にいくつもの亀裂が入り、いちいち乗り越していくのが大変になってくる。

最後は岩壁と雪渓の間にできた溝に降り、溝伝いに稜線鞍部の池ノ谷乗越を目指す。

20180812長次郎谷上部.jpg

ようやく打ち出た池ノ谷乗越はほとんど視界がきかない。

こんな悪い場所にもテントがひと張り張られ、広島から来たという登山者に会う。

コンディションが良ければここから剱岳山頂を往復するつもりだったけど、視界がきかず、霧のために岩が濡れてきたので、山頂は寄らず、直接「剱岳北方稜線」を北に縦走開始。

稜線を30分ほど進むと霧に塞がれた「三ノ窓」に出る。

ちなみに「窓」とは富山弁で、長野弁の「キレット(切戸)」と同様、岩稜の近い深く切れ込んだ場所を指すが、キレットの方がやや深く規模が大きい場所に用いられるような感じ。

20180812三ノ窓.jpg

ルートは、不安定な浮石だらけで、落石と滑落に注意しながら慎重に進む。

踏み跡は薄く、溺れそうな霧の中なので、Nuリーダーは何度も立ち止まり、行く手を見定める。

晴れていれば足場確保も、ルートファインディングもずいぶん楽なんだろうけど、こういう時ほど技量・経験の差がはっきりする。

20180812小窓へ向かう.jpg

下降点となる「小窓」を目指しひたすら進むと、途中の小ピークを巻くあたりで、先行するパーティーが行く手を見失ってうろうろしている。

カラビナをいくつも付けて、岩登りの心得はありそうな風体で、「この先まで進んでみたけれど、渡れそうにない雪渓があるから、ルートを探しているところ」とのこと。

その言葉を聞いて、いろいろ探ってみたけれど、やはりどう考えても雪渓を渡るのが、妥当なルート。

ハーケンを打ち、Nさんがザイルを確保し、Nuさんが途中に支持点としてピッケルを深く差しながら先行する。

このポイントから下はというと、谷底まで続く雪の急斜面となっているので、メンバーは慎重に渡る。

我々が渡ったのを見て、先行していたパーティーも追随。

「渡れそうにないのは自分たちであって、それを他人に一般論のように伝えるのはおかしい」

Hiさんがそう言ったとおり、おかげでけっこう時間をロスしてしまった。

20180812ルンゼを渡る.jpg

くたびれて、ちょっと休憩。小窓はまだ遠い。。

剱岳往復3時間を割愛して、結果オーライだった。

20180812疲労困憊.jpg

ようやく、池ノ平山(2,561m)に挟まれた「小窓」が見えてくる。

視界もずいぶん良くなってきた。

20180812小窓.jpg

おだやかそうな小窓雪渓を下降する。

実は、この小窓雪渓は、日本で数か所しか確認されていない氷河なんだそう。

剱沢雪渓や白馬大雪渓は、雪は厚く大規模でも、氷体部分がないので氷河とはみなされないんだとか。

20180812小窓雪渓.jpg

雪渓の先は、滝になって落ち込むので、それより手前で大正から昭和初期に池ノ谷山にあったモリブデン鉱山の旧鉱山道に入る必要がある。

取付き点の岩に丸いペンキの印があったので助かった。

ただし、急斜面をへつっていく旧鉱山道は通常の登山道より心細いくらいで、ところどころ崩落しているので、気は抜けない。

池ノ平小屋が近づいたあたりに「この先通行不能」との札があった。むむ。。

20180812鉱山道取付き.jpg

ようやく池ノ谷小屋に到着。かつて10月、下の廊下を周回した時に泊まったことがある懐かしい場所。

あの時、裏劔を憧れとともに見上げたけど、あの向こうから歩いて来たんだなあ。。

池ノ平小屋は収容人員が少なく、予約が取れなかったので、今回はさらに仙人池ヒュッテまで向かわなければならない。

日暮れかけて道遠し。

長丁場のあまりダウン気味のGさんに付き添って後から追いかけることとし、他のメンバーには先行してもらう。

20180812池ノ平小屋.jpg

仙人峠を越え、17:45ようやく仙人ヒュッテに到着。

農鳥小屋の親父さんなら、怒鳴りつけられている時間だな。。(いちおう池ノ平小屋から連絡入れてもらったけど。。)

明日は雨との予報なので、夕食前に仙人池からの裏剱をしっかり拝んでおく。

 

紅葉シーズンには超満員となる仙人池ヒュッテも、夏はいたって静か。

風呂も沸いていて、長丁場の後の身には、感謝しかない。

20180812仙人池.jpg

<登山記録> (…:徒歩)

2018年8月12日(日) 曇ときどき霧雨、のち曇

剱沢野営場3:55…長次郎谷出合5:30…右俣左俣分岐(休憩)7:15…池ノ谷乗越9:30…三ノ窓10:05…(この間ルート取りに1時間半ほどのロスタイム)…小窓の王の先の小雪渓12:40…小窓14:20…(小窓雪渓)…鉱山道取付点15:00…池ノ谷小屋15:50〜16:10…仙人峠16:45…仙人池ヒュッテ(泊)17:45

<メモ>

・「剱沢北方稜線」は、その名前にもひかれ入山者は一定数あるが、登山道としては整備されていない。

 死亡事故もたびたび発生している。

 雪渓横断、もろく足場の悪い岩場の通過などがあり、ヘルメット、アイゼン、ピッケル、ザイル、ハーネスなどは必携。

 登攀技術のしっかりしたリーダーの下で慎重に行動したい。天候の変化にも留意し余裕を持った計画で。

・雪渓の状況は、年によって・時季によってどんどん変わり、通行の可否、難易度は古い情報はあてにならない。

 より詳細な情報は、剱沢の富山県警上市警察署剱沢警備派出所が把握されている。

 踏み跡やかすかなペンキなども見られるが、崩落や雪の状況で取るべきルートは刻々変わるので頼り切らないこと。

 

| ぼっち | 縦走主義でいこう! | 20:54 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
剱岳北方稜線縦走記(1)―室堂から劔沢

「縦走主義でいこう!」と、日本の主な稜線を踏破してきた山馬鹿ぼっちも、剱岳の北側は空白地帯になっていた。

というのも、「剱岳北方稜線」とも呼ばれるこの稜線に一般登山道はなく、単独行ではどうにも歯が立たなかったから。

今回地元の山の会で、この稜線縦走の計画があり、ぜひとも!と参加してきました (ロ。ロ)/

 

行程は、立山駅から宇奈月温泉駅までの車回送を前提に、以下の通り。(↓地図クリックで拡大)

8月11日(土) (車で出発)―立山駅―(ケーブルカー・バス)―室堂…劔沢(テント泊)

   12日(日) 劔沢…劔沢雪渓…長次郎谷…池ノ谷乗越(コンディションが許せば剱岳往復)…小窓…小窓雪渓…(旧鉱山道)…池ノ谷小屋…仙人池ヒュッテ(小屋泊)

  13日(月) 仙人池ヒュッテ…(仙人谷)…阿曽原(テント泊)

  14日(火) 阿曽原…欅平駅―(黒部峡谷鉄道)―宇奈月温泉駅―(車で帰途)

メンバーは、1977年のK2登山隊のメンバーであられたNuリーダー、ロッククライミングや沢登り中心に活動するHiさん・Nさん、そして、Gさん・ぼっち(♂)、Haさん・Oさん(♀)の計7名。

日本三大雪渓のひとつ劔沢雪渓、明治40年(1907年)参謀本部陸地測量部による剱岳測量時の登路であった長次郎谷(長次郎雪渓)、日本に存在の確認された数少ない氷河である小窓雪渓をたどる4日間、いざ出発!

立山駅から、アルペンルートの観光客と一緒にケーブルカーに乗り込み、美女平駅でバスに乗り換え、室堂まで。

アイゼン、ピッケル、テント持参なので、ザックはずっしり重い。

20180811立山駅.jpg

立山黒部アルペンルートの観光地でもある室堂は、あいにく霧雨の中。

登山届を出し、舗装されたみくりが池まわりの遊歩道を観光客に混じって進む。

20180811地獄谷と奥大日岳.jpg

硫黄ガスの立ち込める地獄谷の周りのハイマツは、ガスのせいか、黒く枯れている。

立山は、「浄土」と「地獄」が混然として、それは日本人の死生観の両面性によるのかもしれない。

20180811地獄谷.jpg

多くのテントが設営された、雷鳥沢キャンプ場を過ぎ、標高差約450mを一気に劔御前小屋まで登る。

20180811雷鳥沢キャンプ場.jpg

劔御前小舎のある稜線右には残雪の別山(2,880m)が。

20180811別山.jpg

そして、左手には劔御前岳(2,777m)の向こうに剱岳(2,997m)の雄姿が。

これらの峰々に取り囲まれた劔沢の野営場に向けて下降する。

20180811劔沢へ.jpg

剱岳のお膝元の野営場に到着。

テント泊そのものが目的のキャンパー、ここをベースに剱岳を往復する登山者、そして我々のような縦走登山者が入り混じってにぎやか。

とりあえず、明日からのタフな縦走を前にビールで乾杯。

20180811劔沢で乾杯.jpg

今回、ぼっちが食事担当。メニューは、キムチ鍋(※)

明日からは軽量化のためレトルト食品ばかりになるので、今宵はしっかり栄養補給。

※キムチ鍋のレシピ

‘撻丱蘰(一人100g)を、キムチ(同80g)と混ぜ合わせて冷凍して持参。

◆[篥爐Δ匹鵑鯤殞篋淆紊錣蠅忙参。

 鍋で、切干大根を茹で、これに,函▲優、ニラを投入。今回は、トッポッキも投入。

ぁ 困法△Δ匹鵑鯏蠧。

20180811キムチ鍋.jpg

野営場と劔沢小屋の間には、野営場管理所の建物に併設されて診療所と富山県警上市警察署劔沢警備派出所がある。

野営場の受付をした後、派出所に山岳情報を確認する。

長次郎谷上部の雪渓は、ズタズタなので、注意が必要とのこと。

20180811山岳情報.jpg

日暮れ前、野営場官営所前の大岩に、拡声器を持った山岳警備隊の人が登り、「山の日おめでとうございます。明日は、雷が予想されるので、早目の行動を」と、注意を促された。

DJポリス in 劔沢 ってかんじですな。。

いずれにしても、明日は早立ちが肝心。早めに寝るとしましょう。

20180811DJポリス.jpg

<登山記録> (−:車、…:徒歩)

2018年8月11日(土) 曇にわか雨夕方晴 メンバー:Nuリーダー、H、N、G、H、O、botti

大垣集合3:00―(東海北陸自動車道、北陸道経由)―流杉P.A.―立山駅(車を宇奈月温泉に回送)7:35―(ケーブルカー)―美女平駅ー(バス)―室堂8:30…雷鳥沢10:10…劔御前小舎(昼食/2,792mピーク往復)12:20〜12:50…劔沢野営場13:30(テント泊)

 

| ぼっち | 縦走主義でいこう! | 20:18 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
飛騨山脈岐阜県側調査登山(4)―小池新道から

8月6日4:45、終日曇りの予報だったのに、夜明けの空は青。

三俣山荘から直接下山する計画を変更し、三俣蓮華岳山頂を再訪し、夜明けの山々を見ていくことにしよう。

20180806三俣山荘.jpg

朝陽が三俣蓮華岳から双六岳かけての斜面のハイマツを輝かせ、東の槍ヶ岳・穂高連峰は、逆光に切り取られる。

昨夕は西側の黒部五郎岳方面が逆光だったから、きっと朝日に輝いて見えるはず。

20180806三俣蓮華岳から西鎌尾根.jpg

期待通り、黒部五郎岳は、カールの底まで明るく、北ノ俣岳とともに雄大な山容を並べている。

前回見えなかった稜線を、ほしいまま展望できる、至福のひととき。

20180806黒部五郎岳と北ノ俣岳.jpg

登山道沿いは、もう綿毛になったチングルマの花が一面きらめき、その奥に槍・穂が顔をのぞかせる。

20180806チングルマと槍ヶ岳.jpg

歩を進めると、黒部五郎岳の左に、遥か白山連峰も姿をみせる。

白山と飛騨山脈主稜線までは、直線距離でも80km近く。

その間のうっすら霞む空間には、飛騨高地の山々が横たわっている。

まだまだ未知・未踏の山多し。。

20180806黒部五郎岳と白山.jpg

双六岳は中道で迂回し、双六小屋から「小池新道」で下山にかかる。

双六小屋から鏡平、わさび平を経て新穂高に至るルート小池新道は、戦後無人となっていた双六小屋の経営を引き継いだ小池義清氏らが、1955年(昭和30年)に開いた道。

裏銀座とつながる新道が開かれたおかげで、新穂高温泉の登山基地としての役割はより高まった。

 

弓折岳分岐で、鏡平方向に大下りする小池新道と、弓折岳(2,592m)・大ノマ岳(2,662m)・抜戸岳(2,813m)を経て笠ヶ岳(2,898m)に至る縦走路が分かれる。

「『岐阜百名山』勝手に選定委員」のぼっちとしは、調査のため弓折岳に寄り道。

20180806弓折岳から鏡平.jpg

弓折岳は、「続ぎふ百山」のほか、1980年刊行田中澄江著「花の百名山」というのにも選ばれている。

「花の百名山」は、ぼっちは好きではない本。

東京都が9山も選ばれて、岐阜県が7山(白山・黒部五郎岳・弓折岳・双六岳・槍ヶ岳・御岳・西穂高岳)だけだと根に持っているからじゃない。

「百名山」という言葉が、べた(※)で無批判に使われるきっかけとなった本だと思う。

そして、たまたまか・狙ってかは知らないけれど、著者が登った時咲いていた「花」をよりどころに、その山を「百名山」と呼び、その山の印象が固定化される結果になったのを残念に思うから。

※表現がありきたりで陳腐なさまを俗にいう

もちろん、それが喧伝され、それが受け入れられる環境があったからではあるのでしょう。

ちなみに、弓折岳は、ムシトリスミレとなっているけど、本当にこの山を代表する花なんだろうか (?。?)>

 

さて、弓折岳山頂は、こじんまりして、登山の目的地というより、笠ヶ岳への通過点という印象。

20180806弓折岳山頂.jpg

しかも、大ノマ岳、抜戸岳に遮られ、笠ヶ岳が見えないところがいかにも残念。

槍ヶ岳・穂高方面の展望は素晴らしいけれど。

20180806弓折岳から大ノマ岳.jpg

鏡平まで降りて、鏡平山荘で一服。

ここの名物は、かき氷。

20180806かき氷.jpg

鏡池に映る槍ヶ岳が有名な鏡平の存在も含めて弓折岳を選んでもいいかなと思いながら、今回改めて山頂に立ってみた。

結果して、小池新道を鏡平から双六小屋までたどる登山者の多くが弓折岳山頂を踏まないという実情を目の当たりにしてしまうと、やはり登山対象の山としての選定は難しいという思いに傾いた。

20180806鏡平から槍ヶ岳.jpg

鏡平から標高を下げていくと、気温が次第に高くなる。

多くの登山者に道を譲りながら下っていくと、シシウド平からは、左俣谷のわさび平が見えてきた。

小秩父沢で一息、昨日の12時間歩行で足の裏がふやけて肉刺ができてのをだましだまし、新穂高温泉にたどり着いたのでありました。

20180806シシウド平.jpg

さあて、3日ぶりに入る風呂はどこにしようかな―選ぶのに悩むほど、新穂高温泉温泉郷は名湯に恵まれている。

今回は、ちょっと贅沢して、平湯温泉の旅館の温泉に入って、元を取るほどしっかり垢を落とし、ゆったりした。

旅館の前には、温泉神社と薬師堂があり、その間に「篠原無然」記念館(無料・無人)がある。

二宮尊徳が神社まであり崇敬の対象となっているように、平湯の人々にとって、無然は、単なる教育者以上の存在なんだと知らされた。

20180806篠原無然記念館.jpg

<登山記録> (…:徒歩、―:車)

2018年8月6日(月) 晴のち曇

三俣山荘4:40…三俣蓮華岳山頂5:45…(中道)…双六小屋7:40〜7:50…弓折岳分岐8:55…弓折岳山頂9:15…弓折岳分岐9:30…鏡平10:10〜10:20…小池新道入口12:40…わさび平13:00…新穂高温泉14:00―平湯16:00―(帰路)

 

 

| ぼっち | 「岐阜百名山」勝手に選定委員会 | 06:26 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
飛騨山脈岐阜県側調査登山(3)―裏銀座縦走コースから

双六小屋で一息つき、双六岳、三俣蓮華岳を経て三俣山荘をめざす。

このルートは高瀬ダム脇のブナ立尾根を起点とし、西鎌尾根を経て槍ヶ岳に至る「裏銀座」縦走コースの一部で、中尾温泉を起点に合戦尾根、東鎌尾根を経て槍ヶ岳に至る「表銀座」とともに、日本を代表する縦走路のひとつ。

 

双六小屋からひと登りすると、双六岳を巻いて直接三俣山荘に向かう「巻き道」が分岐する。

さらにしばらくで、双六岳を巻き、三俣蓮華岳山頂は経由する「中道」が分岐する。

20180805双六分岐.jpg

双六岳に向けて直登していくと、傾斜が急になる。

このあたりのハイマツと岩の斜面には遅くまで雪田が残り、お花畑が展開する。

今年はコバイケイソウの当たり年、チングルマも見られたけど、早めに始まった猛暑のせいで花の盛りが過ぎていたのが残念。

20180805チングルマ.jpg

勾配が緩くなると、椀を伏せたような山体の上部に出る。

砂礫とゴロゴロした小岩の台地の先に、丘のようなピークがある。

前回は霧に巻かれルートを見失わないよう緊張した場所が、今回は遮るもののない好展望台となるところが山の面白いところ。

20180805双六岳山頂部.jpg

双六岳山頂(2,860m)には 二等三角点 基準点名「中俣岳」がある。

黒部五郎岳は、かつて飛騨側では「中ノ俣岳」と言われていたという。

その黒部五郎岳の 三等三角点の基準点名が「黒部」というのがややこしい。。

20180805双六岳山頂.jpg

双六岳山頂から、東を見れば、砂礫の台地越しに、槍ヶ岳から穂高連峰の全容が目の当たり。

好天なら、ぜひとも巻き道を取らず、この山頂に立っていただきたいもの。

20180805双六岳から槍・穂.jpg

南に目を転じれば、笠ヶ岳が槍と並ぶ存在感ある山容で眺められる。

ここから見ると、やはり抜戸岳は、単独の山というより、笠ヶ岳と一体でとらえた方がいい山だと感じる。

20180805双六岳から笠ヶ岳.jpg

そして、北側には、これから向かう、三俣蓮華岳への縦走路。

このルート沿いは、特にお花畑が美しい場所で、前回は霧の中だったものの花の盛りだったので、白いチングルマ、コバイケイソウ、トウヤクリンドウ、黄色のウサギギク、シナノキンバイ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマコウゾリナ、紅いハクサンフウロ、ヨツバシオガマなどが次々展開して見事だった。

縦走路遥かに居並ぶ、鷲羽岳、水晶岳、薬師岳などは、重厚で存在感がある。

20180805双六岳から三俣蓮華岳.jpg

三角点はない丸山(2,854m)のピークを過ぎ、三俣蓮華岳(2,841m)の山頂に到着。

ここは、長野・岐阜・富山の県境で、江戸時代も信濃・飛騨・越中の国境として奥山廻りの重要なポイントだった。

山名標柱は、大町市・高山市・富山市の連盟となっている。

この山頂からの槍ヶ岳〜穂高連峰の展望も見事。

双六岳や丸山より若干低く、展望、お花畑の見事さなどは変わらないのに、三俣蓮華岳が日本300名山に選定されているのは、やはり、三国境としての歴史と、縦走路の要としての重要性によるものなんだろうとこの場に立ち納得。

20180805三俣蓮華岳山頂.jpg

国土地理院の三等三角点「三ッ又」と、これに先立つ旧山林局の頭の丸い主三角點にも再会。

おや、山林局の三角点、昨年と位置が変わってないかな。。

20180805三俣蓮華岳から黒部五郎岳.jpg

三俣蓮華岳山頂を後に縦走路を急降下。

お久しぶりの三俣山荘が鷲羽岳との鞍部のハイマツの中に見えてくる。

4:45に南岳小屋を出発し、はや11時間あまりの歩行、足の裏がふやけて肉刺(まめ)ができているところに、中くらいの不安定に転がる石の道が連続し、苦行。

要約16:20、小屋に到着。小屋の受付とともに、缶ビールを買って、なにはともかく自分にお疲れさん。

20180805三俣山荘と鷲羽岳.jpg

夕食は、ジビエ鹿肉のシチュー。

ニホンジカの食害はここまで及んできつつあるというから、食べて自然保護。

20180805ジビエ.jpg

夕食後の日没までのまったりした時間。

湯俣川、硫黄尾根越しに、槍ヶ岳の北鎌尾根が眺められる。

槍ヶ岳は、槍の穂先でイメージしてしまうけど、北・東。西にそれぞれ長大な尾根を伸ばした大きな山だなあと改めて混じた。

20180805三俣山荘から北鎌尾根.jpg

<登山記録> (…:徒歩)

2018年8月5日(日) 晴

南岳小屋4:40…南岳山頂4:52…中岳山頂6:15…大喰岳山頂6:50…槍ヶ岳山荘7:30〜7:40…槍ヶ岳山頂8:15…槍ヶ岳山荘8:30…千丈乗越9:25…左俣岳山頂10:45…樅沢岳山頂12:35…双六小屋13:00…双六岳山頂14:05〜14:15…三俣蓮華岳山頂15:12〜15:25…三俣山荘16:20

| ぼっち | 「岐阜百名山」勝手に選定委員会 | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
飛騨山脈岐阜県側調査登山(2)―槍ヶ岳西鎌尾根から

翌8月5日は、南岳から、中岳、大喰岳を経て槍ヶ岳登頂後、西鎌尾根を下りながら周辺の山を観察し、双六岳、三俣蓮華岳を経て三俣山荘に至る、コースタイム約12時間の長丁場。

大キレットの向こうの夜明けの北穂高岳に挨拶して、いざ出発!

20180805朝の北穂高岳.jpg

南岳山頂への登りでライチョウ君2羽と出会う。

南岳、自然度も高し。

20180805ライチョウ.jpg

南岳山頂には、三等三角点 基準点名「北穂高」がある(画像は、南岳山頂を北側鞍部から見たもの) 。

三角点でいうと、北穂高岳と奥穂高岳には三角点がなく、前穂高岳が一等三角点「穂高岳」、西穂高岳が三等三角点「前穂高」、涸沢岳が三等三角点「奥穂高」となっていて、ややこしい。

かつて穂高岳は、総体的に「穂高嶽」と呼ばれており、各ピークを個々にとらえるようになったのは、測量に伴う必要性と、各ピークが近代登山の対象になった明治以降。

測量官と、上條嘉門次とともに穂高連峰を初縦走した鵜殿正雄が便宜的に付けた山名(※)が一致しなかったのもしかたないところ。

※鵜殿正雄は前穂高岳を「南穂高岳」、涸沢岳を「北穂高岳」、北穂高岳を「東穂高岳」と命名している。

 ちなみに、南岳・中岳・大喰岳のうち、中岳は鵜殿が命名している。

20180805南岳山頂部.jpg

南岳の向こうに、円錐形の中岳、台形の大喰岳、そして槍ヶ岳のピークが連なる。

神々しい槍ヶ岳を目指してはやる心には、3千m峰といっても単なる通過点かも。

20180805中岳大喰岳槍ヶ岳.jpg

大喰岳から飛騨乗越を挟んで天を衝く槍ヶ岳は、何度拝んでもやはり別格の存在感。

槍がなかったら、この山域をガウランドは「日本アルプス」なんて呼ばなかっただろう。

20180805槍ヶ岳.jpg

昨夜槍ヶ岳山荘に泊まった人は下山してしまう時間のせいか、案外ゆったりと槍ヶ岳山頂に立つことができた。

播隆が初めて槍ヶ岳の山頂に立ったのは文政11年(1828年)なので、今年で開山190年目。

 

槍ヶ岳から南を望むと、穂高連峰が圧倒的な密度で重畳。

槍・穂を経て焼岳まで縦走した時、この光景に武者震いしたっけ。。

それぞれのピークの位置関係は、槍ヶ岳(直線距離で約800m)大喰岳(同600m)中岳(同1,300m)南岳(同1,800m)北穂高岳(同800m)涸沢岳(同800m)奥穂高岳(同1,500m)間ノ岳(同500m)西穂高岳という間隔。

「日本百名山」や「信州百名山」は、奥穂・北穂などを分けず、「穂高岳」という総称で挙げている。

それに対し、「ぎふ百山」は、西穂高岳(90)、奥穂高岳(91)、北穂高岳(92)とピーク別に挙げている。

「岐阜百名山」を「勝手に選定」するにあって、どうしたものかずっと考えてきたけれど、山はピークだけでなく、総体的にとらえるべきだと基本的に考えつつも、各ピークの個性も紹介したいので、「穂高岳」として選定し、その枝番で、奥穂高岳、北穂高岳、西穂高岳を紹介するというのがいいかなと思っています。

20180805槍ヶ岳から穂高.jpg

槍ヶ岳の山頂を後に、いよいよ西鎌尾根を双六小屋に向け下っていく。

ぼっちが初めて槍ヶ岳に登ったのは、登山を始めて2度目の夏このルートからで、ばてて足が攣ってご迷惑を掛けてしまった、痛恨の思い出が。

20180805西鎌尾根.jpg

槍の肩から一気に大下りし、鞍部の千丈乗越に出る。

ここからは、山頂から槍平に向かう飛騨側槍ヶ岳直登ルートに向けて分岐しており、さらにその途中から、中尾根に取り付いて奥丸山を経由して、左俣谷か西俣谷に下山するルートが派生する。

20180805奥丸山と槍平ルート.jpg

千丈乗越から振り返る西鎌尾根。

やはり長い。西鎌・北鎌・東鎌と長大な尾根を各方向に伸ばす槍ヶ岳は、改めて大きな山だと思う。

20180805西鎌尾根から槍ヶ岳.jpg

西鎌尾根の途中にある、左俣岳を越え、樅沢岳に立つ。

尾根の付け根に双六小屋がありそこから双六岳(2,860m)さらに北に丸山(2,854m)、三俣蓮華岳(2,841m)が連なって見える。

今までの岩稜ひしめく風景から、おおらかな斜面の広がりが別世界のよう。

20180805樅沢岳から双六岳三俣蓮華岳.jpg

双六小屋のある鞍部からは、双六池越しに、弓折岳・大ノマ岳・抜戸岳・笠ヶ岳と山々が重なる。

昨年は黒部五郎岳方面から双六小屋を経由して笠ヶ岳をめざしたけれど、連日霧に包まれて何も見えず、「勝手に選定委員」の調査・観察が満足にできなった。

好天の今年こそ、しっかり見極めなくては。。

20180805双六池.jpg

まずは、今通ってきた樅沢岳(2,755m:続ぎふ百山)を改めてくわしく観察。

三角点のない山頂部は東西方向=西鎌尾根に沿う方向と南西方向とに張り出した台形の姿で、鈍重といっていい山容。

ハイマツの山頂から槍ヶ岳から穂高連峰は良く見えるけど、このあたりの山はどこも森林限界を超え、槍・穂に近いから、特筆するものではない。

山の規模・標高それに従う展望いずれも、双六小屋を挟んで向かい合う双六岳(2,860m)にはかなわない。

むしろ、双六小屋から槍ヶ岳方向の展望を塞いだ位置にあるため、選外としたい。

(双六岳、三俣蓮華岳に続く)

20180805樅沢岳.jpg

 

| ぼっち | 「岐阜百名山」勝手に選定委員会 | 23:47 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
飛騨山脈岐阜県側調査登山(1)―南岳新道から

飛騨山脈―いわゆる「北アルプス」は、長野県・岐阜県・富山県・新潟県にまたがり、日本の高山100位までのうち52山を含む、大山岳地帯。

そのうち、主稜線の三俣蓮華岳から南と笠ヶ岳の稜線が岐阜県側にあたる。

広大なエリアにさまざまな個性の高峰がひしめくけど、「『岐阜百名山』勝手に選定委員会」のぼっちとしては、この山域の調査・選定は避けては通れない。

昨年の飛騨山脈西南部大縦走に引き続き、新穂高温泉を起点に南岳新道から槍ヶ岳西鎌尾根を経て三俣蓮華岳から小池新道で周回し、山頂踏査だけでなく、他の山から山容もしっかり観察してきました (ロ。ロ)/アシガスリヘッタ

 

槍・穂高の登山基地と言えば、長野県側の上高地が有名だけど、岐阜県側の新穂高温泉も飛騨山脈南部の重要な基地だった。

しかし、大正9年笠ヶ岳の穴ヶ谷の土石流で中心部の蒲田温泉が壊滅、昭和9年にバス路線の開通し登山ブームの中心となる上高地側に大きく後れを取る。

戦後、鏡平から双六岳方面に向かう小池新道、笠新道などが開かれ、1970年に新穂高ロープウェイが開設、さらに中部縦貫自動車道の安房トンネルも開通し、首都圏・長野県側からのアクセスが格段に良くなった。

そして何といってもありがたいのは、自家用車で直接アクセスできることで、駐車場には関東・関西・北陸など各方面のナンバーがひしめく。

登山届を出す三角屋根の登山指導センターの背後で、蒲田川は槍ヶ岳に続く右俣谷と、笠ヶ岳・双六岳に向かう左俣谷に分かれる。

今回は、右俣谷を遡行。

20180804新穂高温泉.jpg

快晴の夏山シーズン週末、多くの登山者の行き来がある。

人影少ない山ばっかり行っているぼっちは、15人抜き・5人抜かれなんて思わず勘定しちゃってストレス溜まります。。

20180804槍平小屋.jpg

登山者でにぎわう槍平小屋の東側の斜面に、槍ヶ岳の南に位置する南岳に向かう南岳新道の登山口がひっそり開かれている。

飛騨山脈中核部にありながら、マジック書きの道標には、通行困難箇所があるとの注意書き付き。

この先、南岳小屋まで、下山者5名とすれ違っただけという静けさ。

20180804南岳新道入口.jpg

南岳新道の難所の第一は、南沢の通過。

滝谷同様かなり荒れていて、しばらく岩の間を登り、対岸の急な尾根に取り付く。

雨の時などは、状況が一変しそう。。

20180804南沢.jpg

ハシゴ・木道の老朽化の度合いは画像の程度、それなりに手は入れてあるけれど、全体的な老朽化は否めない。

後で、南岳小屋のご主人に伺ったところによると、南岳新道の前身の道が1998年の地震で崩れ、翌1999年、2000年のインターハイのコースとして当時の上宝村が県の予算で整備したのが、現在の道なんだそう。

20180804南岳新道登山道.jpg

息つく踊場さえほとんどない急な尾根の途中で振り返ると、先週登った奥丸山(2,440m)の上に、笠ヶ岳方面が見えてくる。

笠ヶ岳(2,898m)の北に続く抜戸岳(2,813m)は、見る場所によっては笠ヶ岳と間違えるほど立派な山容だし、標高も十分だから単独で「岐阜百名山」に入れたいほど。

しかし、この山は笠新道で笠ヶ岳へ至る通過点であって目的地としては登られていないし、笠ヶ岳と抜戸岳の間に形づくられた氷河地形の圏谷(カール)と、そこに展開するお花畑の見事さは分けがたい。

登山の対象としては、笠ヶ岳という場合、抜戸岳も包含されると考えた方がいいのではと思う。

 

それに対し、南側の錫杖岳(2,168m)は、標高も低く、南岳側からは「おまけ」のようにしか見えない。

しかし、新穂高温泉あたりから見上げた時その荒々しい岩峰群は、笠ヶ岳とは全く違う個性を持っている。

飛騨山岳会のロッククライミングの歴史を飾った山であり、笠ヶ岳とは登攀ルートも重ならない(というか一般登山道はない)。

やはり、錫杖岳は、岐阜県の誇る山岳のひとつとして挙げたいところ。

20180804笠ヶ岳方面.jpg

いつしか、新道は、森林限界を超え南岳(3,033m)のピークが見えてくる。

こうやって見ると立派な山容で、標高も乗鞍岳・立山・白馬岳などより高いのに、槍ヶ岳(3,180m)大喰岳(3,101m)中岳(3,084m)と連なっているため地味に見えてしまうのがかわいそう(↓弓折岳側からの参考画像参照)。

20180804南岳.jpg

 

尾根から鎖のある斜面をへつり、雪田を横切るあたりが、今回の最難所。

7月初旬、雪の固い条件だと、アイゼンがほしいところ。

20180804南岳新道へつり部分.jpg

斜面の雪の消えた場所はお花畑になっている。

チングルマはもう綿毛になっていたけれど、ウサギギク、ヨツバシオガマ、タカツメクサ、タカネヤハズハハコ、ミヤマダイコンソウなどが咲いていた。

20180804南岳高山植物.jpg

大キレットを南に控えた窪地に南岳小屋とキャンプ地が開かれている。

こじんまりして、居心地のいい小屋だった。

20180804南岳小屋.jpg

南岳で圧巻なのは、大キレットを挟んで南に向かい合う北穂高岳の勇姿。

日本でアルピニズムという言葉に恥じない数少ない場所でしょう。

20180804北穂高岳.jpg

北側には、中岳、大喰岳の向こうに槍ヶ岳。

20180804南岳から槍ヶ岳.jpg

そして、東側の谷には、名高いロッククライミングの舞台:屏風岩、その向こうに蝶ヶ岳。

実は、南岳がもっとも立派に見えるのは、蝶ヶ岳からで、横尾尾根と屏風岩の間に南岳がカールを見せてそびえる。

大喰岳、中岳には三角点はなく直接登る登山道もないので槍ヶ岳への単なる通過点になりがち。

(鎗沢から中岳の東斜面の天狗池経由で主稜線に取り付くルートがあるが、分岐点は南岳寄りになっている。)

南岳には三角点があり、南側に大キレットがあって標高を感じられ、この山への登山道があるので、斜面のお花畑や氷河地形も楽しめる。

「ぎふ百山」発刊の頃には、まだ南岳新道も整備されていなかったけど、この静かな絶景の山は、単独の山としてもっと評価されていいと思う。

特に、山岳写真愛好家にはおすすめの山です。

20180804屏風岩から蝶ヶ岳.jpg

<登山記録> (−:車、…:徒歩)

2018年8月3日(金) 新穂高温泉21:30(車中泊)

4日(土) 晴

新穂高温泉5:00…穂高平6:25…白出沢7:00…滝谷出合8:05…槍平小屋9:05〜9:15…南岳小屋13:05…南岳往復…小屋(泊)

<メモ>

・南岳新道は、飛騨山脈の一般ルートに比べ、利用者は少なく、整備も行き届いていない。

 特に下部の南沢が近年の水害で荒れており、小屋では下山にはなるべく使わないでとのPRがされている。

・好天であれば、それほど問題はないとの印象だった。しかし、にわか雨などで、急な増水があった場合は影響が出そう。

・岐阜県側からの主稜線へ取付くことができる貴重なルートであり、廃道とならないよう何とか守っていただきたいもの。

 

| ぼっち | 「岐阜百名山」勝手に選定委員会 | 06:30 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
平湯大ネズコに会いに行く

新穂高温泉で午前10時解散、他のメンバーは名古屋方面に帰っていった。

残された岐阜県民ぼっちは、前から気になっていた「平湯大ネズコ」に会いに行くことに。

大ネズコは、クロベ(黒檜)とも呼ばれるヒノキ科の針葉樹で、「木曽五木」にも入る銘木。

 

新穂高温泉から高山市街に向かう国道158号線の平湯キャンプ場の先に大ネズコ入口の看板がある。

冬はスキー場の駐車場になるがらんとした空地に愛車奥地君を待たせ、一般車両進入禁止の林道に入る。

約15分歩いたところで林道と分かれ、大ネズコへの遊歩道を進む。

ブナや、サワグルミなどの樹林に包まれた遊歩道は、山馬鹿ぼっちにはいい道だけど、観光客にはほとんど登山かも。。

20180727大ネズコへの道.jpg

山道をさらに15分で、小平地に打ち出ると、 おお! そこに大ネズコが出現。

赤く艶のある幹はごつごつ節くれだち、大人5人が腕を伸ばしてようやく一周できるほど。

会津朝日岳や、立山の鍬崎山で、クロベ(ネズコ)の大木に出会ったことはあるけど、これほど問答無用の巨木は初めて。

畏敬の念に打たれながら、巨木の周りを一巡り。

20180728平湯の大ネズコ.jpg

林道の入口まで戻り、往きには読み飛ばした由来書きを読んでみる。

「昭和初期、林野庁より村人が原木を払い下げていただき、炭焼をして生活の支えとしていた時、巨木を発見しました。

大正時代、社会教育家『篠原無然』先生が10年間、平湯温泉を拠点に飛騨の人々を教育されました。無然先生から自然の大切さを教えられた村人は、将来きっと地元の貴重な財産になると思い、『平湯大ネズコ』と名づけ、残した巨木であります。」

 

篠原無然といえば、兵庫県浜坂町の生まれながら、大正4年、当時僻遠の地といわれた平湯にあえて代用教員として入り、青年の教育や工女の待遇改善などに尽力したが、同12年、指導下にあった工女が入水自殺し、これを無然と結びつける地元素封家を中心とした排斥運動が起き、追われるように関東大震災の救援活動に出ていく。そして、大阪の芸娼妓専門の病院に大阪府の嘱託として勤務、翌13年11月、平湯に向かおうとして雪の安房峠で遭難し、36歳の生涯を閉じている。

「人界に師なし」として、深山に修養の場を求め、大自然を師とした無然はまた、北アルプスに山岳公園を作ろうと、地元の青年たちと乗鞍岳登山道を整備し、乗鞍岳の桔梗ケ原などの命名もしている。

ネズコは銘木なので、伐れば金になるのをあえて残した昭和初期の平湯の人々の心には、そんな無然先生の教えがしみこんでいたのでしょう。

 

昭和9年北アルプスは中部山岳国立公園に指定され、中部縦貫自動車道の安房トンネルが開かれた今、平湯は冬でも都会の人を迎え入れ、僻遠の地の面影は、もはやそこにない。

大自然を師とした無然先生は、今の平湯をどのように見るのだろうか。

 

| ぼっち | 巨木に会う | 06:06 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
飛騨山脈南部の大展望台―奥丸山(2,439m)

飛騨山脈、いわゆる「北アルプス」に、奥丸山という山があるのをご存知でしょうか?

新穂高温泉の北、鎌田川の右俣谷と左俣谷に挟まれ、槍ヶ岳西鎌尾根の千丈乗越から南に派生する中崎尾根上に位置する標高2,439mの山であります。

下の地図をご覧いただくと、右俣谷を挟んで東に槍ヶ岳から穂高連峰、左俣谷を挟んで西に双六岳から笠ヶ岳と向かい合う、飛騨山脈南部の展望には抜群の位置にあるのを分かっていただけましょう(↓画像クリックで拡大)

ただし、貴重な夏山シーズンに、それら魅惑の山々ではなく、この地味な山に向かうのは、よほどもの好きかも。

 

今回、ぼっちの山の会の西鎌尾根経由の槍ヶ岳・穂高連峰登山計画が、台風12号が週末来襲のため中止となり、27日(金)、天気のいいうちにどこか登ろうということで、ようやくこの山に登る機会がやって来た。

メンバーは、フルマラソンを年何度も走るメンバー2名を含む健脚5名組。

奥丸山への代表的なルートは、右俣谷の槍平小屋から直登するもの。

左俣谷にも、2005年にわさび平からのルートが開かれ、さらに槍ヶ岳から西鎌尾根の千丈乗越からの尾根道ルートもある。

今回は新穂高温泉から左俣谷から入山し、右俣谷経由で新穂高温泉に戻る周回コースを選択。

小池新道につながるわさび平小屋は多くの登山者でにぎわっている。

その背後にのぞく、丸みを帯びた地味なピークが奥丸山。

20180727わさび平小屋.jpg

わさび平から約20分で、左手に下丸山(1,852m)がせまってくる。

このあたりが、奥丸山への取り付き点となるはず。

20180727奥丸山16.jpg

新穂高温泉から続いている左俣林道は、ここでコンクリートの橋で右手に折れ、小池新道は左手に分かれていく。

コンクリートの橋を渡った先が奥丸山の登山口で、左俣林道と別れ下丸山を右手に巻いていく。

最初はわさわさした夏草に覆われ、ヤブ漕ぎなの?と心配したけど、樹林帯に入り込むと、踏み跡はしっかりしている。

20180727奥丸山分岐.jpg

標高約1,450mの取り付き点から、約2,100mの尾根に出るまでの急登が、今回の肝(きも)。

シラビソやクロベ、ブナなどの見事な原生林は、江戸時代から伐採の進んだ上高地側では見られない見事なもの。

途中、槍ヶ岳から中崎尾根を下山してきた単独行の男性とすれ違った以外誰とも会わない。

これほどの静けさに包まれた登山道は、飛騨山脈でも希少。

20180727奥丸山登山道.jpg

取り付き点から2時間余りで、中崎尾根・わさび平分岐に到着。

多忙でこの夏最初の登山だったというNさんは、熱中症寸前だったけど、ここで大休止して復活。

ちなみに、中崎尾根を南下し、中崎山(1,744m)を経由して新穂高温泉に下りるルートは、ほとんど歩かれていないみたい。

20180727中崎山わさび平分岐.jpg

尾根道は、ぐっと穏やかになり、ニッコウキスゲ咲く登山道の向こうには、槍ヶ岳(3,180m)から、大喰岳(3,101m)、中岳(3,084m)、南岳(3,031m)が連なる。

本当は、あの稜線をたどる計画だったんだけどな。。

20180727槍ヶ岳.jpg

三等三角点奥丸山の山頂に到着。

槍ヶ岳を背景に記念撮影。

20180727奥丸山山頂.jpg

山頂に至ると、北側の展望も広がる。

画像は左手から双六岳、樅沢岳、西鎌尾根から槍ヶ岳、大喰岳、中岳のパノラマ。

双六岳の直下に弓折岳が重なり、南に抜戸岳、笠ヶ岳、錫杖岳が続く。

20180727西鎌尾根.jpg

槍ヶ岳から南へ視線を回すと、南岳から大キレットを挟んで北穂高岳。

特に、日本アルピニズムの先鋭的な舞台となった北穂高岳の滝谷をこれほど間近に眺められる山はほかにない。

笠ヶ岳に立てば笠ヶ岳は見えない。槍ヶ岳に立てば槍ヶ岳は見えない。

360度飛騨山脈南部の主要な山岳を展望できるということにおいて、奥丸山はピカ一かもしれない。

20180727南岳と北穂高岳.jpg

名残惜しい山頂を後にして、約1時間で右俣谷側槍平小屋に到着。

こちらのルートは小屋から近いこともあってか、一か所崩落した痩せ尾根を慎重に通過する以外は、登山道整備もばっちり。

小屋の入口に「<警告>台風12号の接近のため、明日28日(土)の午後以降は、新穂高方面の沢の増水で、ほぼ100%通行不能となります。下山の方は本日27日中おそくとも28日早朝に下山してください」との札が吊るされていた。

無理して日帰りも(アルコールも持ってきてるし)もったいないので、予定通り1泊し、早立ちとする。

20180727槍平小屋看板.jpg

実は、本日27日が、ぼっちの誕生日。

Nさんが、ワインをプレゼントしてくれ、みんなで乾杯。

ありがたいことです。

20180727ワイン.jpg

翌28日、朝食を弁当で済ませ、夜明けとともに小屋を出発。

何とか滝谷も、雨の降りだす前に通過できた。

それにしても、滝谷は2012年に来た時と、様相がずいぶん変わって見える。

数年前の台風でかなり荒れ、大水になると土石流が発生する危険が高まっていると小屋の兄さんが言っていた。

温暖化による影響もあるのかもしれないけど、そもそも飛騨山脈はプレートのぶつかり合いの影響下で様相を常に変えている場所なんでしょう。

20180728滝谷.jpg

9:00新穂高温泉に到着。雨に降られなくてよかった。

駐車場から吊り橋を渡ったところにある「深山荘」で汗を流しさっぱり。

槍ヶ岳初登頂をめざすつもりだったメンバーは、言葉少なくなりがち。

でも、山頂からの大展望と飛騨山脈の貴重な原生林を味わえる奥丸山周回は、山馬鹿ぼっちにとっては十分魅惑的でありました。

20180728深山荘.jpg

<登山記録> (―:車、…:徒歩)

2018年7月27日(金)~28日(土)

27日(晴) 東海北陸自動車道ひるがのS.A.(集合)6:15―新穂高温泉(駐車)8:10~8:30…わさび平小屋9:40~9:50…分岐10:15…奥丸山登山口10:20…中崎尾根・わさび平分岐(昼食)12:10~12:30…奥丸山山頂13:40~14:20…槍平小屋15:10(泊)

28日(曇) 槍平小屋5:10…滝谷出合6:00~6:10…白出沢出合7:35…穂高平小屋8:05…新穂高温泉9:00

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| ぼっち | 「岐阜百名山」勝手に選定委員会 | 07:47 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
飛騨荒城川 木地屋渓谷沢登り

40度超えの地点も出ている酷暑の岐阜県美濃地方  (ロ。ロ; トケソウ

こんな時こそ沢登りと、飛騨の荒城川・木地屋渓谷に地元山岳会のメンバーと遠征して来ました。

 

荒城川は、神通川の支流で、高山市丹生川町の十二ヶ岳北側を流れる一級河川。

その荒城川に2012年できた丹生川ダムのダム湖、五味原湖のさらに上流が木地屋渓谷。

一枚岩の滑滝(なめたき)が沢登りに好適で、今回は初体験の女性3名も含め17人ものメンバーが参加。

 

ダム湖への流れ込み部に架かる木地屋大橋に駐車、沢靴を履き、ハーネス・ヘルメットを装着。

まずは、S大先輩から沢登りの基本について説明を受け、林道の小橋から沢に降り立つ。

(林道は、この先国有林入口にゲートがあり、通行止めとなっている。)

20180722木地屋大橋.jpg

花崗岩一枚岩の見事な川床を清らかな水が滑るように流れていく。

川床は微妙に波打ち、ところどころに滝を作り出す。

サワグルミなどの渓畔林の木陰は涼しくて生き返る気分。

20180722荒城川1.jpg

轟轟と瀬音を立てて落ちる滝も登場。

シャワークライミングしなくてはならないような難しいポイントはなく、リーダーSさんの的確なルート選びで快適に遡行。

20180722荒城川2.jpg

岩と水は、木立の緑を映しながら刻々と表情を変え、思わぬ深いところもあるので、慎重に進む。

わざわざ腰まで水に浸かる場所を渡って、冒険気分を楽しむベテランさんもおられる。

20180722荒城川3.jpg

今回のハイライトは、水を一つにまとめ一気に落ちるこの滝。

人の背よりもはるかに深そうな滝壺を見下ろしながら、慎重に岩肌をへつっていく。

20180722荒城川4.jpg

沢が広がった場所に、巨木の切株が残されている。

サワグルミなどの見事な渓畔林がありながら、トチの木を見掛けないのは、この一帯で活躍した木地屋がロクロ細工の材料として伐ったからなんだろう。

20180722伐採の跡.jpg

ふたたび滝が登場。

沢登りのエキスパート、Hさんがシャワークライミングの妙技を披露。

苔むした川原に、緑の棒のようなトクサが生えている。

表面がざらざらして砥石のように固く、ロクロ細工の仕上げにヤスリがわりに使われるので砥草とも書かれる。

庭に植えられらものをよく見かけるけれど、本来は山間の湿地に自生する植物。

もしかすると、木地屋が移動に合わせ植えたものかもしれない。

20180722トクサ.jpg

二股の沢が合流する地点が今回のゴール。

Hさんがここでステミング(両手または両足で左右方向に力を入れ突っ張り、体を安定させるテクニック)を紹介。

楽しく沢登りを終了したのでありました。。

20180722荒城川6.jpg

丸木橋を渡って岸に出ると、そこは木地屋の住居兼作業場だった小平地で、ソーラーパネル付きの立派な小屋もある。

今は、材料の原木を伐りつくしたのか、ダムができたからなのか、別の場所へ移動されたようで、「丹生川村指定 歴史 木地師由来書と製作用具、惟尊親王像」という、昭和62年丹生川村が高山市に合併される前の文化財指定の標柱が残されている。

20180722木地屋家.jpg

小屋の前で弁当を開き、帰りは林道歩き。

往路は沢登り約3時間、復路は約1時間とほぼ半日の行動だったけれど、林道を1時間ほどさらに上流に進むと、本格的な沢登りができる大滝があるらしい。

車に戻り、丹生川ダムの少し下手にある、「荒城温泉恵比寿の湯」というこじんまりした、しかしなかなか湯質のいい温泉に入りさっぱり。

アブなどもいなく、緑したたる快適な沢で、また訪れてみたい魅惑の渓谷でありました。

 

| ぼっち | 日本4000山 | 06:01 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
7月の大坐小屋たより―猛暑を逃れて

皆さま、暑中お見舞い申し上げます。

連日の猛暑は信州にも押し寄せて、長野市内の最高気温は38度に迫るほど。

標高約1,100mの飯綱高原は、それより4、5度低く、樹林の中なのでしのぎやすい。

 

今回の小屋管理人のメインの作業は、知り合いのFさんが、薪を持ってきてくださる受け入れ。

実家の林檎畑の剪定で出た木や枝を束ねたものを、もう使わなくなったからと軽トラック一杯いただく。

林檎の木は、白樺などに比べて、火持ちがいい。これで、2〜3シーズンは薪調達に頭を悩ませなくてもよさそう。

炎暑の中、ここまで運んでもらうのは大変だったはず。Fさんありがとうございました。

 

薪を運び入れた後、マツの花粉で黄色くなったベランダの拭き掃除をし、布団を干し、道路からの小路の草を刈り、煙突に鳥が巣を作らないように金網をかけ、屋根に積もった落葉松の葉を掃き下ろして作業完了。ふう。

20180715大坐小屋.jpg

余った時間、連れ合いと涼を求めて高山村の奥、標高約1,500mにある山田牧場まで脚を延ばしてみる。

長野に住んでいた頃キャンプをして、朝起きたら牛がテントをのぞき込んできてびっくりした懐かしい場所。

今は、口蹄疫予防のため、牛とは触れあえないんだとか。時の流れを感じるな。。

20180715御飯岳.jpg

冬はスキー場になる牧場まわりのホテルは、奥山田温泉という温泉が引かれ、日帰り入浴ができる。

本格的な硫黄泉で、薪の搬入や、屋根掃除で汗だらけになった後だけに、さっぱり・ゆったり。

温泉の向こうに、信州百名山の御飯岳(2,160m)が眺められるのもうれしい。

風呂上がりに牧場の牛乳でできたソフトクリームを食べ、言うことなし。

20180715奥山田温泉.jpg

夜は簡単に、ズッキーニ、トマト、ナス、キノコを炒めてレトルトカレーを絡めた「夏野菜カレー」を制作。

簡単なわりに、手作り感があってうまい。

これにビールがあれば、これまた言うことなし。

20180715カレー.jpg

帰路は、日本海回り。

富山県朝日町の、宮崎・境海岸:通称ヒスイ海岸で、昨年に続きヒスイを探し(暑いので早々に退散)、「栄食堂」で名物のタラ汁を食べ、鉄道を挟んで向かい側の「たから温泉」の塩辛い湯につかり、海の日の三連休を締めくくったのでありました。

 

| ぼっち | 山小屋たより | 06:12 | comments(0) | trackbacks(0) | にほんブログ村 アウトドアブログへ←アウトドアブログのランキングです クリックよろしく!
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